地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第41回 華やかさと分けやすさを両立するホールケーキの挑戦
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ええ、何度やっても失敗してしまうんです。でもお店で売っているショートケーキとかって、すごくきれいに切れているじゃないですか。上に乗っているイチゴもスパッと切れていて、見事だなぁと。あれ、どうやってやってるんですか?
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ああ、やっぱりそうですよね。でも一度フルーツを動かしちゃうと、元のようにはならないんですよ。だったら最初から、「ホールケーキなんだけど人数分に分かれているようなケーキ」があればいいのに、とも思うんです。
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全然やりますよ。ショートケーキと同じように、飾り付ける前の段階で切り分けて、そこから丸く戻すというやり方で作ります。それぞれをフィルムで区切っているので、2つに渡ってフルーツが乗ることもないですし。
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ああ、そういう視点もあるわけですね。うーん、見た目の華やかさと分けやすさの両方を兼ね備えたホールケーキって作れないものなんですかね。スギタさんのところで全く新しい概念のホールケーキとして開発してほしいくらいです。
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そうそう。「パルティータ」的な進化系ホールケーキができたら、喜ぶ人がたくさんいると思いますよ。
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ホールケーキを買ったときのワクワク感が、切り分けて食べる時まで続くといいなと思うんです。一番きれいに切れたのを子どもにあげて、親は残念な見た目のケーキを食べる、なんてことはもう卒業したいなと(笑)。
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笑。でも見た目の美しさや食べやすさはすごく大事ですよね。スタッフと一緒に商品開発していても、美味しさはもちろんのことながら、美しく食べられるかどうかもシビアに見ますし。つまりそれがホールケーキでもできればいいと。
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まさに仰るとおりで。ケーキってフォークを入れる時の美しさも絶対必要ですからね。たまにものすごい高さのハンバーガーとかありますけど、食べる時に崩れてしまうようでは食べ物としては成立してない気がするんです。
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。