「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。
第59回 トゥモローゲートの評価制度を教えて下さい

今日は「プロセス評価の是非」についてお聞きしたくて。基本的に経営者は社員を「成果で評価」したいのに対して、社員は「プロセスも評価して欲しい」と考えますよね。そのあたり西崎さんとしてはどうしてますか?

それで言うとトゥモローゲートでは「プロセス評価はしない」というスタンスですね。

まさに仰るとおりで、僕ら自身が過去に一度それで失敗しているんです。「売り上げてきた額の◯%が給与」というような設定にしたところ、確かに売上はよくなるんですが、そもそも僕らが目指している「オモシロイ会社を作る」ための動きが減ってしまって。

ああ、ちょっとわかってきました。つまり「スキルは上がらなかったけど頑張ったから評価してください」「ビジョンの実現に貢献はできなかったけど意識して働いてました」とか、そういうのは評価対象外だと。スキルアップやマインドを体現できたものだけを評価する。

なるほどなぁ。でもその評価制度で成り立っていて、会社もちゃんと成長しているってすごいですよ。私も以前似たような評価制度を取り入れたことがあるんですが、ほとんどの社員はついてこなかったですから(笑)。意外と皆さん、数字での評価が好きだったようで。

「成果につながるプロセス」だけを評価している感じですよね。でも、それができてない会社もたくさんあると思うんですよ。トゥモローゲートさんは他社の評価制度を作ったりもしていますけど、クライアントさんでそういうケースはないですか。

そうですねぇ。もちろんクライアントの社員さんの中にも「頑張っているんだから(結果が出なくても)評価してよ」って人はいるでしょうね。気持ちは理解できますが、それを会社の評価軸としてしまうのはあまりよくないかなと。

そりゃそうですね。ただ一方で、例えばスキル1つとっても、毎日右肩上がりにジワジワ身につくわけじゃなくて、ある日突然ポンッとできるようになる、みたいなこともあるでしょう? だとすると「(現時点では)成果につながっていない努力」も評価してあげた方がいいようにも思いますけど。

仰る通りなんですよね。なのでこれは説明が難しいんですが、成果というのは必ずしも売上や利益じゃなくてもいいんです。売上にはなっていないけど、スキルアップにつながるチャレンジができていたら、それは当然評価対象で。
対談している二人
西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社 代表取締役 最高経営責任者
1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数19万人とSNSでの発信も積極的に展開している。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。