人間交換日記 128通目「あなたはどんな中にいると思っているのか?」大野

人間交換日記

「すべての人は、すごい可能性を秘めている」と信じる大野と、「多くの人は目的などなくただ存在しているだけ」と断ずる安田。人間の本質とは何か。人は何のために生きているのか。300文字限定の交換日記による言論バトル。


128通目/大野からの返信
「あなたはどんな中にいると思っているのか?」

僕も本当にそう思います。ただポジティブの言葉に変換しとけばそれでいいか?と言われるとそうでもない。コンテキスト(分脈)が意味を形創るからです。コンテンツ(何を言うか)も大事ですが、言っている言葉の意味は言っていることではなく、コンテキストが決定的に優先してしまうから。りんごひとつとって見ても、それが聖書の中で語られるのとウィリアム・テル物語で語られるのでは意味が全く変わります。あるいは白雪姫でも違うし、万有引力の分脈でもコンピューターという分脈によっても意味するものが変わります。つまり、あなたはどんな中にいると思っているのか?どんな文脈でその言葉を使っているのか?が重要です。

前回127通目/安田「言葉は人生のルール」

大野さんへ

食事のチョイスで体が変わるように、言葉のチョイスで人生は変わる。ほんとその通りだと思います。私は18歳でアメリカに渡り、英語での生活を5年ほどやっていました。その結果、驚くようなことが起こりました。受け身だった性格が能動的になり、控えめだったはずの自分が、言いたいことを主張するようになりました。人は言葉で考える動物です。そして言葉で感じる動物です。言葉は人を変える。性格を変える。思考を変える。でも多くの人はその事実をよく理解していません。だから人の悪口を言ったり、ネガティブな言葉を発したりするのです。言葉は人生の基本ルールです。使う言葉を変えるだけで人生はまったく別のものになります。

ー安田佳生より

 

前々回126通目/大野「なぜその言葉を選んだのか?」

安田さんへ

最近面白いと感じることが、食事の趣向と言葉のチョイスって似ているなぁって事です。僕たちは1日3度の食事をする時に、世界中の国の料理リストからどれにしようか?とは考えません。偏りが多くの場合生まれる。言葉も、表現方法も無数にある筈なのに、なぜその言葉を選んだのか?無意識にせよ必ず理由がある。閉じ込めて聞こえなくなってしまった声があるとすると、自分がどんな言葉を無意識で使っているのか?を意識化することが、もしかしたら内なる声に耳をしっかり傾ける助けになるのかもしれません。接続詞一つとっても、でもとそしてでは違いますし、形容詞と副詞でも心象が変わります。例えば、違う見方をしてと違ったように見てでは。

ー大野より

 

これまでのやり取り

交換日記をする二人



火曜日
安田佳生(やすだ よしお)

1965年生まれ、大阪府出身。
2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

●金曜日
大野栄一(おおの えいいち)
株式会社一番大切なこと 代表取締役
https://ichibantaisetsunakoto.com/
https://www.sugoikaigi.jp/coach/eiichiono/

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