第4回 「会社の終わり」はやってくるか

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第4回 「会社の終わり」はやってくるか

安田
今回は「会社の終わり」について話してみたいんですけれど。会社ってすごく便利じゃないですか。

鈴木
そうですね。社員がいると、1人じゃできないこともできますし。
安田
お金も集めやすくなります。それこそ10億100億っていう単位のお金を動かせたりしちゃう。

鈴木
そうですよね。大きな工場を建てて何百人も従業員を雇って、というようなね。
安田
そうそう。でもね、今はそんなに資本力がなくてもビジネスできちゃうじゃないですか。会社に頼らずとも。

鈴木
自分で商品作って、ネットで集客しちゃえばいいんですもんね。むしろそういう事を主体的にやっていける人が勝ってるイメージです。
安田
そうなんですよ。だからこそ今回のテーマなんです。どう思います?会社はなくなっていくと思いますか。

鈴木
今すぐはなくならないでしょう。自分でビジネスをやっていける人はまだ一握りだと思うので。
安田
確かに、「会社員という立場じゃないと稼げない人」は多そうですよね。一方で、「会社がなくても稼げる人」はどんどん独立していってるでしょう?

鈴木
能力の高い人ほど辞めちゃうんでしょうね。経営者としては頭の痛い話だけど(笑)。
安田
だから、今は9割以上の人が会社員ですけど、その割合はだんだん減っていくと思うんですよ。

鈴木
うーん、もちろん仰っている意味はわかるんだけど。でも、能力的にというよりメンタル的に、「自分でビジネスをする」という世界に切り込める人がどれくらいいるかなと。
安田
でも、そう言っていられるほど呑気な状況じゃないでしょう。会社に所属してれば一生安泰って時代じゃない。

鈴木
確かにね。いわゆる終身雇用、会社が社員の人生丸ごと世話します、みたいなモデルはもう崩壊してる。
安田
そうそう。会社員でいること自体がリスクになりつつあって、そして若い人はそれに気づいてるんじゃないかって。

鈴木
でも、それに気づいた上で、それでも会社員になりたいって人もいるんじゃないですかね。給与も出世も望まない。そこそこ安定していればそれでいいっていう。
安田
ああ、確かにそうかもしれません。そういう意味ではやっぱり会社は必要なんですかね。

鈴木
必要とする人はい続けるだろうなと。でも、そもそも会社って別にそういう人の受け皿として発明されたわけじゃないんですけどね。
安田
そうそう。鈴木さんが冒頭仰ったように、1人ではできない大きな事をしていくための仕組みですよね。別に雇用を産み出すとか1人で生きていない人を助けるためじゃない。

鈴木
今はどちらかというと、ベーシックインカム的な感覚が強まってますよね。
安田
国がそう考えるのはわかるんですよ。国の仕組みとして、あんまり稼げない人を助けていくというのはね。でも、経営者の視点はもっとシビアでしょう?

鈴木
ともあれ、世の中には「雇用を産み出すことが大事だ」と言ってる経営者さんも多いですよね。社会のため、地域のためっていう。
安田
そうなんですか。でも、そうやって社会福祉的な観点で雇ってあげて、教育して育ててあげても、優秀な人から抜けていっちゃう。

鈴木
ふふ(笑)。そうなんだけどね。今の子は転職に対するハードルも低いし。
安田
だから私としては、経営者も従業員も、もっとドライになっていく気がするんですよ。そもそも、会社員って働き方が定着したのはここ数十年のことですよ。

鈴木
確かに昭和20年代、30年代くらいまでは個人事業主の方が多かったって言いますよね。みんな「○○屋さん」みたいなことをやっていた。
安田
そうなんです。それが今や、3世代みんな会社員、みたいなことになっているわけです。お祖父ちゃんの会社にお父さんが入って、さらに息子がその後を継ぐ。

鈴木
まさにウチみたいな会社ですね(笑)。まあ、時代が変わったとは言え、その風潮はまだしばらく残ると思うなあ。
安田
では鈴木さんとしては、会社員は何割ぐらいになると思いますか。

鈴木
そうだなあ、8割は下回らないんじゃないですかね。まあでも、安田さんが仰るように、情報は格段に得やすくなってますし、わからないですけどね。
安田
私なんかは、その8割の人は全員公務員にしちゃえばいいのに、なんて思いますけど。

鈴木
ああ、でも確かに公務員的な感覚の人たちなのかも。言われた仕事をキチッとやっていればクビにならない。休みもしっかり保証されてるし、退職金もしっかり出る。
安田
一方で、今は賃上げも進んでいるじゃないですか。新卒の初任給が30万円とかの世界が来るかもしれない。

鈴木
そんな金額になったら、普通の中小企業じゃ新卒なんて採れなくなりますよ。
安田
頑張って採用して育てても、辞めちゃうかもしれないし。

鈴木
絶対に採算合わないですよ。確かにそういう意味ではお互いドライにならざるを得ないのかも。
安田
そうそう。というかそもそも経営者と社員って利益が相反してるんですよね。経営者は給与以上に働いてほしいし、社員は給与以上の働きはしたくない。

鈴木
まあね(笑)。そこをどううまく調整するか、ってことなんでしょうけど。
安田
会社っていうのはそういうせめぎ合いなんですね。

鈴木
そういうことです。なかなかどうして難しいものですよ。

 


対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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