その190「口座から現金が消えて考えた、『リアリティとは何か?』」

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なぜこんなツマラナイものにこだわるのだろう。そういう「ちょっと変わった人」っていますよね。市川さんはまさにそういう人。でもそういう人が今の時代にはとても大事。なぜなら一見ビジネスになんの関係もなさそうな、絶対にお金にならなそうなものが、価値を生み出す時代だから。凝り固まった自分の頭をほぐすために、ぜひ一度(騙されたと思って)市川ワールドへ足を踏み入れてみてください。

「口座から現金が消えて考えた、『リアリティとは何か?』」

最近、僕の口座から現金が消えてて、びっくりしたんです。
なんかの事件にでも巻き込まれたのか!?って焦りました。
が、実際は、何も考えずに使っていただけなんですが・・・

クレジットカードに加えて、現在では電子決済という便利な方法も出てきて、現金を使う実感が希薄になってきましたよね。
最近、日常生活で現金を使う必要がありませんから。見たり、触れたりする機会もめっきり減りました。
昔は必要な現金を銀行口座から引き出して、その都度口座残高を目にしていましたよね。
そして、引き出した現金を財布に入れて、財布内の現金の増減をリアルに感じられていたわけです。
ところが、今はスマホをかざすだけで決済できます。
こうなると、支払っているという感覚、現金を使っているという感覚はゼロですよね。(僕だけでしょうか!?)
スマホやパソコンの画面に映る決済情報や預金情報は、単なる数字のように思えて、リアリティは極めて薄くなります。

テクノロジーの進歩や慣習の変化によって、リアリティが希薄になるコトやモノも増えているのかもしれません。
お客様企業で、コロナ禍に転職してきた管理職の方がいました。
コロナ禍ということもあって、「部下と直接会って話したことはほとんどない」とおっしゃっていて、驚きました。
ITインフラが整って、ビデオチャットツールも充実していますから大きな不便もないでしょう。
写真撮影の際に、「実物見るの初めてです」とか、「普段はメガネじゃないんですね」とか、そんな話をしていましたからね。
さて、画面越しにしか会ったことがない人とのコミュニケーションの場合、どこにリアリティを感じるのでしょうか?
例えば、その相手が、実は、AIによって生成された3Dモデル(アバター)だったとしたら?
このAIモデル(部下)に中の人がちゃんと居て、その人間とコミュニケーションをとっているのだから、それはリアルだ、と言えるのでしょうか?
じゃあ、AIが部下っぽく、人間っぽく回答していたら、そこにリアリティはあるのでしょうか?
当人が部下だ、人間だ、と思ってコミュニケーションをとっている限り、その人にとって一定のリアリティはあるのかもしれません。
それが思い込みだとしても、実感がリアリティにとって重要なのでしょうか?

現在、人工ダイヤモンドって天然と区別がつかないらしいですね。それが市場に出回っているそうです。それもかなりの数。
人工ダイヤモンドは、人の手によって結晶化を促進させただけで、天然のそれと光学的、物理的に変わりませんし、化学成分や結晶構造も同じなので、見分けがつかないのも当たり前だそうですね。
この場合のリアリティって、何なんでしょうかね?
両者とも炭素からなる鉱物ですから、ダイヤモンドですよ。
実のところさして珍しくもない!?鉱物が、デビアス社によって流通をコントロールされて価値が高められ、「婚約指輪=ダイヤモンド」というマーケティングがなされ、採掘に関わるバックトーリー(創作)でブランディングされたダイヤモンドに、私たちはリアリティを感じていたのでしょうか?
では、人工ダイヤモンドの婚約指輪だと、婚約のリアリティにも影響するのでしょうか?
互いの愛にリアリティを感じていたら、天然や人工の違いはリアリティに影響をしないのでしょうか?

・・・まぁ、知らないうちにお金を使いすぎていて、口座から現金が消え失せてしまった僕には、天然ダイヤモンドなんて買えませんけどね。
そんなことが言いたくて、こんなことをダラダラと書き綴っているわけじゃないですよ。
ただ、「お金がない」というリアリティを認めたくないだけで・・・(涙)

 

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著者/市川 厚(いちかわ あつし)

株式会社ライオンハート 代表取締役会長
https://www.lionheart.co.jp/

LH&creatives Inc.(フィリピン法人) CEO
https://lionheart.asia/

<経歴>
三重県の陶芸家の家に生まれる。
(僕が継がなかったので、父の代で終焉を迎えることになる…)
大学時代、遅めの中二病を発症。経済学部に入ったのに、何を思ったか「ファッションデザイナーになるんや!」と思い立ち、大学を中退。アパレル企業に就職。
ところが、現実は甘くなく、全く使えない僕に業を煮やした社長から、「Webサイト作れないとクビだからな!」と言われ、泣く(T_T)パソコンの電源の付け方も知らなかったけど、気合でWebサイト制作を習得。しかし、実際のところは、言い訳ばかりで全く成長できず・・・怒られて、毎日泣く(T_T)そんな頃、「デザインにも色々ある」と改めて気づいて、広告業界へ転職、広告制作会社のデザイナーとしてのキャリアをスタート。
「今度は言い訳をしない!」と決めて仕事に没頭し、四六時中仕事していたら、黒目がめくれ上がってきて、眼科医から「失明するよ」と言われ、ビビる。2004年勤務先で出会った同僚や友人を誘って起業、有限会社ライオンハートを設立(現 株式会社ライオンハート)。ところが、創業メンバーとあっさり分裂、人間不信に。残ったメンバーと再スタート。
2014年、設立10周年を機に、創業メンバーで唯一残っていた人間を日本法人の社長にし、自身は会長になり動きやすい状態を創る。この頃からブランディングエージェンシーを名乗り始める。
2016年、フィリピン(マニラ)にITアウトソーシング企業(LH&creatives Inc.)を設立。設立準備期間から家族とともに移り住み、フィリピンで3年半を過ごす。
フィリピン人マネジメントを通して、猜疑心の塊になり、性悪説に変わる。
2019年6月、日本に帰国し、日本法人のマネジメントに復帰。社内コミュニケーションを充実させるために席替えしたり、誰も掃除しない椅子をきれいにしたり、「眠いときはしゃべった方が良いよねッ」ってスタッフに話しかけながら仕事をするなど、独自のインナー・ブランディングの理論を実験していたところ、会社の調子が上がった。そもそもブランディングってなんだ?と思っていたところに、BFIの安田さんと出会い、勝手にご縁を感じてコンサルを受けてみる。そしたら安田さんに誘われ、2020年、anote konoteに参加することに。

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