第80回 新人Kくんの逆襲

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/ 新人Kくんの逆襲

以前、大手メーカーさんにて若手の先輩社員に「現場でのギャップ体験」(第72回)について取材しました。

目的は、先輩社員が新人だったころに「配属先で感じたギャップ」、「戸惑った出来事」を新たに入社した新人に「事前把握」させ、抗体、免疫をつけてもらうこと。対策を考え「職場で活躍してほしい」との思いももちろんあります。

「新人の仕事の一つに、真っ先に電話を取らないといけない決まりがあり、電話に慣れていないし、ビジネスマナーも不安だった、、」

なんて声もあがっていました。

そんな同社に訪問し、5月に職場配属された新人さんたちのご様子を伺いました。

今度は、新人さんたちへのインタビューです。

すると、多くの新人さんたちが先輩同様、ギャップに戸惑っているなか、、

営業職Kくんが元気に語りだしました。

「僕。めちゃくちゃ電話とりまくってます!初めは慣れなかったけど、今はめちゃくちゃ楽しいです!」

聞くと。

「気づいた人、手が空いている人が取ればいいやん。たかが会社で偉そうに先輩風吹かして、器小さいな」なんて思ったこともあったようですが、、

「考えてみると、外で見かけるサラリーマンに、凄そうな人をあまり見たことはないですし、どっちか言えば、くたびれた人ばかり。電話をかけてくる相手を怖がる必要はまったくないですよ」

Kくんは、とにかく取りまくったのだそうですww

・先輩から仕事の説明を受けていても、説教されている時だって、電話が鳴ったら、構わず取る。なんとしても取る

・取った後は、相手の要件がわからないことばかりなので、近くにいる人に手当たり次第「どう答えたら良いですか?」と徹底的に聞きまくる

・上司から「仕事を覚えたか?慣れたか?」と問われると、「誰よりも先に電話を取ることは覚えました!」と元気に答える

そんなことを続けまくった結果。。

「Kくん。もう電話出なくてええよ。。」

それ以降は。

電話対応以外の仕事を依頼されることが増えたようで。

「はじめは『偉そうにしている人』や『なんでも新人に押し付ける人』に『嫌がらせしたろう』って始めましたがww、結果、どんどん周りの人に覚えてもらえて、仕事も教えてもらえて、いま、めちゃくちゃ楽しいです!」

実に頼もしいですよね笑

 

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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