第208回 歴史をつくった左足

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/歴史をつくった左足

みなさま、2024年もよろしくお願いします。

昨年12月17日のこと。

中村俊輔さん(以降は、リスペクトを込めて敬称を外します)の引退試合が開催されました。

「俊輔」の最終所属クラブであり、現在コーチを務める「横浜FC」に縁ある仲間たちで構成されたチーム(=横浜FCフレンズ)と、日本代表として一緒に戦った仲間たちで構成されたチーム(=J-DREAMS)が対戦したのですが、俊輔は、前半は「横浜FCフレンズ」でプレーし、ハットトリックを達成。そして、後半は「J-DREAMS」でプレーし、こちらでもハットトリックを達成!

決めた全6ゴールのうち3ゴールが、彼の代名詞「フリーキック」という、これ以上ないカタチで自身の引退試合を演出し、約1万5000人が詰めかけた「三ツ沢球技場」のサポーターを大いに沸かせたのです。

以下は、「俊輔のコメント」です。

試合開始前には、

・三ツ沢は「特別な場所」。小学生の時に初めて日本リーグを観戦し、木村和司さん、ラモス瑠偉さんに「憧れを覚えた場所」

・高校生の時に「みんなで力を合わせて」、全国高校サッカー選手権の出場を「掴み取った場所」

・そして、1997年4月、Jリーグに「初出場した場所」。Jリーグ「初ゴール」となったフリーキックを決めたのもこの場所でした。このスタジアムには数えきれないたくさんの思い出があります。引退試合を通じ、皆さんと一緒にこの場所で「新たな思い出作り」ができたらうれしいです

試合終了後には、

・いろんな選手たちや、動いてくれたスタッフ、来てくれたサポーターの方々が「楽しくできたかな」と。そんなプレッシャーから解放されてほっとしています

「本当に楽しかった」し、J-DREAMのほうは、みんな年を取ったな、と。三ツ沢でできたのは、「純粋に楽しかった」ですね

「みなさんが頑張って」ファウルをもらってくれて作ってくれたので。「師匠」といっていい(GK川口)能活さんを、反対チームにメンバーリングさせてもらって対決できたのは、引退試合といえど、いいものでしたね

「尊敬する選手であり人間」なので、最後に(GK川口から)メッセージをもらうのは「光栄だし、うれしかった」です。今日来てくれた選手は「戦友と呼べる方たち」だった。またやれてよかった。

また、

ライバルたちとの「差別化」については

・若いときは(小野)伸二でした。代表を意識したときはヒデさん(中田英寿)。また、森島さんのような動きが自分には足りない、とか。その3人は「いつも意識して」やっていました。ヒデさんは「雲の上の存在」だし、伸二は自分にないものを持っていた。彼らに「ないものを磨かないといけない」と意識していた。そのうちひとつがフリーキックでした

「こだわり」は、PKと同じくらいの感覚で決めるんだという意識。「蹴ったら必ず決まる」という状況をチームメイトに見せて「信頼」してもらうんです

などと語っていましたが、

某大手さんに年末の挨拶に伺った際。

人事部長のYさんが「俊輔のコメント、良かったですね」と感想をまとめてくれました。

・先ず、大きな器の国立とかでやるんじゃなくって、「歴史と思い出が詰まった地元の小スタジアム」で開催してるじゃないですか

・コメントも、先輩や後輩、関係者たちにも「感謝とリスペクト」が詰まりまくっている

・さらには、こだわりを磨き上げてきた「決意と情熱」も伝わってくる

・こういう、引き際コメントができるってのは、日頃から「ご縁と感謝、決意と情熱」を意識しているんでしょうね

・結局、仕事って「そういうスタンス」がないとうまく進まないようになってるじゃないですか

・だから彼の左足は、「歴史を作って」こられたし、見るひと「すべての心を揺らして」きたんでしょうね

「まあ、ウチみたいな大手は、そういう文化を押し付けてくる人たちが山ほどいますけどね」

と話す、Yさんですが、彼から送られるメールやメッセージの末尾には「ご縁に感謝」「全ての出会いにありがとう」の文言が毎度毎度添えられているのであります。

 

著者の他の記事を見る


 

高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

感想・著者への質問はこちらから