第229回 営業していない時間が売上を作る

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

以前、あるオーナーさんからこんな話をされました。
「売上が厳しいから定休日をやめようかと思っているけど、どうだろう?」と。

個人店を経営するオーナーに労働時間の制限はありません。
そのため、このように考えたくなる気持ちもよく分かりますし、実際に私も開業して1年くらいは休まずお店に出続けていました。

でも、今から振り返って考えると思うのです。
「あの時休むと決めたからこそ、ここまで商売を続けることができたのではないか」と。


定休日をやめてお店の営業日を増やしたら売上は伸びるのか?
恐らく現状より少しは伸びるでしょう。

じゃあ、やはり定休日をやめた方が良いのかというと、そうは思いません。
というのも、定休日を減らすよりも、今ある定休日を有効活用する方法を考えた方が結果的には売上は伸ばせると考えているからです。

売上を伸ばしたいと考えたとき、私たちはどうしても「営業している時間の量」に注目してしまいがちです。

事実、私もそう考えていたからこそ休まずお店に出続けていた訳ですが、今思えばこれは売れない状態のお店の営業時間を単純に増やしただけに過ぎず、逆に考えるならばお店に出ている時間を増やしてしまったからこそ、お店を改善する取り組みに時間が取れていなかったと言えます。

以前のコラムで私はあるお店のリニューアルについて書きましたが、こうした店内の大幅なリニューアルもまた、定休日というお店が「営業していない時間」があるからこそできる改善であり、私自身もお店に出ない日を確保したおかげでお店の改善案を考え、行動することができ、結果的に繁盛するお店を作ることができたのだと感じます。

そう考えるのであれば、私たちがお店の売上を伸ばそうと考えたときに取り組むべきなのは、「営業している時間の量」を増やすことではなく、現状を変える改善を考えて実行するための「営業していない時間の質」を上げることだと私は思うのです。

 著者の他の記事を見る

著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

感想・著者への質問はこちらから