第267回「静かに進む奨学金返済免除」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第266回「日大アメフト問題の真相」

 第267回「静かに進む奨学金返済免除」 


安田

学校の先生不足を解消するために「奨学金の返済を免除する」という案があるらしくて。これなかなか画期的じゃないですか。

石塚

これね。50年前にあったんですよ。

安田

え!そうなんですか。

石塚

はい。だから昔に戻しただけ。安田さんが習った世代の先生には多かったはずですよ。

安田

そうなんですか。

石塚

僕も小学校、中学校の先生でいました。「なんで先生になったんですか?」って聞いたら「いや、石塚。俺、実家が貧しくてな。奨学金借りて大学出たんだけど、先生になったら免除するって規定があったから先生になったんだよ」って。ちゃんと教えてくれました。

安田

すごい先生ですね。まあ昔はそれが普通だったのか。なぜ終わっちゃったんですか。

石塚

詳しい経緯は知りませんけど、それぐらい社会が豊かになったからじゃないですか。先生のお父さんは戦争で亡くなっていて、そういう家庭を救済するという目的もあったんでしょう。

安田

だけど今これが復活するかもしれないと。これって良いことですよね?

石塚

僕は賛成です。職業は縛られるけど、先生になって奨学金を返せるんだったら「先生もいいな」って人が出てきますよ。

安田

先生の質も上がるんじゃないですか。

石塚

そう思います。

安田

国としては苦肉の策なんでしょうけど。もう先生の成り手がいないってことで。

石塚

学校の先生は本当に成り手がなくて穴が開きまくってますよ。

安田

ブラックな職場と言われてますからね。

石塚

まあちょっと覚悟はいるけど。20年近い返済を考えたら借金が一気になくなるのは希望の光ですよ。

安田

何年ぐらい先生をやったら借金が帳消しになるんでしょう。

石塚

そこは縛りがあると思います。10年以上の勤務必須とか。

安田

あるでしょうね。

石塚

5年で辞めたら残り6割は返せみたいな。

安田

心を病んで転職する先生が増えてますけど。借金があると辞めるわけにいきませんよね。

石塚

もし僕が先生になって返済免除を受けているのに病んでしまったら。僕だったらいつまでも休職します。

安田

なるほど。やめずに休職し続けると。ま、そりゃそうですね。

石塚

在籍だけはずっと続けると思います。借金がなくなるまで10年なら10年。

安田

これで学校の教員不足問題は解決すると思いますか。

石塚

半分ぐらいはこれで解決する可能性がありますよ。

安田

なんと。半分も。

石塚

それほどまでに借金で苦しんでいる学生は多いってことです。まず中退する人が減る。教員免許取って先生になって10年ぐらい頑張ろうかって気になるじゃないですか。

安田

先生になりたくない人もいそうですけど。

石塚

32〜33歳まで頑張ればいいわけで。10年だったらやってもいいかなって。終わりがあると人間頑張れるじゃないですか。

安田

確かにそうですね。定年まで勤めなきゃダメってなったら辛いですけど。

石塚

人身売買になるからそこまでは縛れないはずです。

安田

なるほど。10年ぐらい頑張ったら帳消しになると。それなら頑張れますね。今は人生も長いし。

石塚

10年でも若手がたくさん入ってきてくれたら、そりゃ現場も生徒も喜びますよ。

安田

そうですよね。

石塚

これはいい制度だと思います。もっと早くやればよかったのに。

安田

メディアでガンガン取り上げて欲しいですね。「先生になれば奨学金帳消しです!」って。

石塚

いや難しいでしょう。財務省はこんなの絶対認めたがらないから。「借金したんだから利息つけて返せよ」って。

安田

もはや高利貸しですね(笑)

石塚

「なに免除とか甘いこと言ってんだよ」って。財務省が反対するから公には広められないでしょう。そっと高校の進路指導室に置いてあるはずです。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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