第58回「使い方を変えたことで大ブレイクした小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「使い方を変えたことで大ブレイクした小さなブルーオーシャン」


「もともとの思惑とはだいぶちがいますが…」

思い込みは怖いですね。

今回のお話し、実は、
とても有名な話で、よく知られたことだと
私は思っていました。
最近、話をした方々に、
あまり知られていないと聞いて、
びっくり!

シュレッダーばさみ

というものをご存知ですか?

近年、個人情報、プライバシー保護の
観点から、書類等を粉砕して
破棄することが多くなりました。
企業ですと、シュレッダーという
機械があって、粉砕して、破棄する、
というのが一般的でしょう。
しかし、置き場所の問題、
コストの問題等々から
家庭であのような機械を
設置することはまずあり得ません。

そんな時に便利なのが、
シュレッダーばさみ。
いまや、百円ショップでも
手に入るものであり、
様々の種類、サイズのものもあって、
重宝されている方も多いと思います。

このハサミが店頭に並んでから、
すごいアイデアだなぁと、
感心された方も多いのではないでしょうか?

しかし、このシュレッダーはさみ。
もともとは、「海苔切りバサミ」だった、
というのをご存知でしたでしょうか?

あるメーカーが、料理のトッピングに使う
「刻み海苔」を手軽に作れる、便利なハサミ、
として販売を開始したのです。

とはいえ、その限られた用途もあってか売上数は3万本ほど。
小さなブルーオーシャン的には、
使い方を限定するという手法も大事なのですが、
そもそも、あらかじめ海苔が刻まれている
「刻み海苔」という商品も存在しますし、
刻み海苔自体、年に数回、使うか使わないか。
また、料理をしない人には全く必要のないものです。
つまり、購買層がかなり限られてしまうのが欠点でした。

そんなある日、郵便物などを捨てる際に、
海苔切りバサミで郵便物を細かく切ってから
捨てているというユーザーの声を耳にします。

早速、そのメーカーは、海苔切りバサミを違う名称、
パッケージにして、シュレッダー用のハサミとして
文具用品売り場で販売することにしました。
すると、個人情報の取り扱いに敏感な時代なのも相まって、
100万本以上を売り上げるヒット商品に。

もともとの「刻み海苔を作るハサミ」も
面白い発想ですが、さらに進化させて、
「シュレッダーばさみ」として、再出発させる。

面白いですね。

 

 

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佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

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