第106回「価値を見出し、復活させた小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「価値を見出し、復活させた小さなブルーオーシャン


「一度は潰れたレトロなレストラン。復活させたら人気スポットに。」

今の若い人は全くわからないと思いますが…。
昔、デパートや百貨店の最上階には、
レストランが必ずありました。
うどんやラーメン、カツ丼などの和食があると思えば、
ステーキやハンバーグ、ナポリタン、
お子様ランチなどの洋食まで揃う、
いわゆる現在のファミレスのようなものです。

PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像

このデパートや百貨店の
レストランにワクワクされていた方も
多いのではないでしょうか?

岩手県花巻市。
わんこそばの発祥地であり、
宮沢賢治の生誕地でもあり、
大谷翔平選手が卒業した
花巻東高等学校がある所です。

その花巻市、JR花巻駅から
少し離れた中心市街地に、
地域の人々に愛され続けた
「マルカン百貨店」がありました。

しかし、2016年6月、
惜しまれながら43年間の歴史に幕を閉じました。
この発表後すぐに、
「せめて食堂だけでも残してほしい」
と地元高校生による署名運動が起きたことからも、
地域から愛されていたことがわかりますね。

この声に呼応するかのように、
地元の若手経営者らが立ち上がりました。
その中の一人、上町家守舎の代表 小友康広氏は、

「残せば残すほど価値が増していくような
コンテンツを失うことになる。
もったいないと感じた」

と再生に乗り出します。

2017年2月、わずか8ヶ月で
「マルカンビル大食堂」として、
レストランを復活。
現在でも、平日にもかかわらず、
午前11時の開店と同時にお客が流れ込み、
560席がいっぱいになるんだとか。

名物の10段巻きのソフトクリームはあるものの
中身は以前と変わらず、
ラーメン、寿司、カレーなど
まさに昭和レトロのデパートの食堂だそうだ。

人が想う価値とは千差万別。
古き良きものにも価値を見出した
小さなブルーオーシャンだと思います。

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マルカンビル大食堂
〒025-0087 岩手県花巻市上町6-2
URL:https://marukanshokudo.business.site/
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佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

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