第36回 キャリアアップは「会社の外」で。

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第36回 キャリアアップは「会社の外」で。

安田
今まで「キャリアステップ」というと、会社の中にあったと思うんです。これができたらリーダーになり、これができたらマネージャーになり、という。でももうそういう仕組みに魅力を感じない人が増えている気がして。

渡邉
そうかもしれません。特に若い人は「社内での出世」にモチベーションがわかないみたいですからね。「頑張って実績を残そう!」という意欲のある人は、いち早く独立してフリーになっちゃいますし。弊社でご紹介しているプロ人材にもそういう経緯の人が多いです。
安田

そうですよね。若くて優秀な人ほど、「一つの会社でずっと頑張る」と考えていないというか。


渡邉

大手の社員でも「就職と同時に転職サイトに登録するのが当たり前」なんて言われてますからね。つまり最初から転職を視野に入れているわけで。

安田
そうそう。「20代前半はA社でまずこのスキル、20代後半はB社でこのスキル」と、だんだんと収入が上がっていくキャリアステップを組み立てているんだと思います。

渡邉
「課長」とか「部長」みたいなポジションには、あまり意味を感じないんでしょうね。それこそ「人生全体のキャリアステップ」を会社が一緒に考えてあげるくらいのことをしないと。
安田
まさにそう思うんですよ。「うちの会社に20代前半で来たら5年でこのスキルが身に付くので、5年後にはこういう転職ができますよ」と言えるくらいでないと。

渡邉
ええ。それにしても、今の若い人って本当に自分のキャリアをしっかり考えてますよね。僕自身が学生だった頃は、「いつか起業しよう」となんとなく考えているだけだったような……
安田
まぁ、昔は世界でも1位2位を争うくらい、日本全体が伸び続けてましたからね。言われた通りにやっていれば、自然と給料も増えて昇進もできた。

渡邉
そうですね。その後もよほどのヘマをしなければ、たっぷり退職金がもらえて、老後も豊かに暮らしていけましたし。
安田
それが完全に崩壊してしまった今、彼らは自分のキャリアステップを真剣に考えざるを得ないんだと思いますよ。

渡邉
確かにそうですね。昔は大手企業が倒産するなんて考えられませんでしたから。
安田
それが今や、入った会社がなくなったり買収されたり、自分がリストラされることだってある。
渡邉

そんな状況でも社会保険料や税金はどんどん上がり続けてますからね。「会社にただ身を委ねているだけでは危ういぞ」と、まともな人ほど思いますよね。

安田
ええ。だからこそ一つの会社じゃなくて、どの会社に行ってもある程度の収入が得られるようなスキルを身に着けておく必要があるわけです。40歳までに1回も転職していない人って、今の転職市場ではむしろ厳しいらしいんですよ。

渡邉
へぇ。昔はそういう人の方が人気がありましたけどね。「1社に尽くしてきました!」っていう、昭和初期から飛んできたみたいな(笑)。
安田

笑。でも今は逆に「40代なのに1回も転職してないって大丈夫ですか?」と見られてしまう。


渡邉
それだけ転職が当たり前になってくると、採用する側も目が肥えてきてますよね。ただ転職したというだけじゃなくて、その経験で何を身に付けたかが見られるようになっている。
安田

そうですね。今まで身に付けたスキルから、「こういうポジションにつけてもらえたら、こういう成果を出すことができます」と自分自身をプレゼンできるようになると、どの企業でもやっていけるでしょうね。


渡邉
それはかなりの強みですね。それに最近は、評価されるスキルの幅も広がってます。ランリグでも「雇われ店長でバーテンを5年やっていた」という30代の男性を採用したところで。
安田

へぇ。今はそういう経験も「キャリア」になる時代なんですね。昔は「クラブ活動でキャプテンをやってました」というのが定番でしたけど。

渡邉
そうでしたね。先輩の言うことは絶対で、少々のパワハラにも耐えられるような人が気に入られてましたよね。でも今はきちんと実務経験がある人が評価される。
安田

20代30代の人はそれがわかっているので、社内での出世を「キャリアステップ」とか「キャリアアップ」とか言っていると鼻で笑われてしまいます(笑)。


渡邉
本当にそうですね(笑)。いい人材を確保したいなら、社外も含めたキャリアステップを本気で考えないと。
安田

終身雇用という言葉が響くのはもはや45歳以上の世代だけで、若い人にはむしろ「5年で辞める前提の仕事です」って言った方が採用力も上がると思いますけどね。


渡邉

5年経って残る人は残るし、辞める人は辞めるわけですからね。「生涯うちの会社で頑張ってください!」なんて言ったら誰も来ないかもしれませんね。

 


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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