ルール変更の意味

昔ながらの定番ボードゲームである
“人生ゲーム”がルールを変えた。
お金を集めてその量を競う
というルールがなくなり、
フォロワーを増やしてその数を競う
というルールになった。

時代に合わせてルールを変更するのは
当然の企業努力である。
ゲームというものはリアルに近いほど
臨場感があって面白いのだ。
友人とのゴルフや麻雀に金を賭けるのも
同じ道理である。
ゲームに臨場感を持たせ面白くするため。

つまりゲームのルールが変わるのは、
現実社会が変わったことを意味しているのだ。
自分の土地の大きさを競うモノポリーも、
いずれルールを変えざるを得ないだろう。
ネット社会では大きな土地(サイト)を
持っていることよりも、訪れる人数、
すなわちPV数に価値があるからだ。

若者が高いブランド品を身につけなくなったのも、
車を買わなくなったのも、
金銭的な余裕がないからだと言われている。
だがそれは本当だろうか。
余裕があっても欲しくないものは買わないし、
少々無理をしてでも欲しいものなら買う。
それが人間というものだ。

今や現実社会において、
ヴィトンのバッグを持っていることより、
車を所有していることより、
YouTubeチャンネルの登録者が多いことのほうが
「すげ〜」と言われ称賛される。
自分の心もはるかに満たされる。

価値基準はすでに変化してしまったのだ。
社会のルールは書き換えられたのである。
私たちはこの事実を認めるしかない。
人は何に価値を感じるのか。
何にお金や時間を費やすのか。
ルールを知らずにビジネスはできない。

我々が子供の頃に楽しんだ人生ゲーム。
そのゴールを覚えているだろうか。
そこでは子供が売買される。
男の子ならいくら。女の子ならいくら。
相場が決まっているのだが女の子の方が高い。
これもリアルな社会を反映しているのだろう。

子供を売買するという道徳問題もあるが、
重要なのはそこではない。
子供が資産になっているという事実である。
今の社会はどうだろう。
なぜ人は子供を産まなくなったのか。
批判を承知で書くが、それは子供が
資産ではなく負債となっているからだ。
私たちはその事実を受け入れなくてはならない。

会社も同じである。
100人の社員を抱える社長は
「凄いですね」とかつては言われた。
だが今は「大変ですね」と言われる。
会社を売る時に社員は資産となるのか。
それとも負債となるのか。
もう一度ルールをきちんと見直すべきだろう。

 


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