売れない商品の正体

絶対に売れる商品。
そんなものは存在するのだろうか。
1万円札を5000円で売り出したら
バカ売れすることは確かだ。
だがこれは商品とは言えない。
売れれば売れるほど損をするからである。

商品というからには利益がなくてはならない。
言い換えるなら5000円を1万円で売るようなものだ。
普通なら売れない。
そこに「何か」が加えられているから、
人はその商品を買う。

原価500円の弁当を1000円で買うのは
その価値を感じるからである。
すごく美味しいとか。
すごいオマケがついているとか。
初恋の人が手作りしているとか。

価値と感じるものは人によって違う。
だがいずれにしても、何らかの価値が
付加されていなければ、その価値が価格を
上回っていなければ、人は商品を買わない。

では絶対に売れない商品とはどのような商品か。
とんでもなく不味くて高い定食屋とか。
いやいや、そんな店にも客がいたりする。
読みたい漫画が揃っているとか。
美人のウエイトレスがいるとか。
不人気すぎてゆっくり昼寝ができるとか。

つまりこういうことである。
絶対に売れる100点の商品も、
絶対に売れない0点の商品も、
この世の中には存在しないのだ。
あるとしたら限りなく売れにくい1点の商品と、
限りなく売りやすい99点の商品だけ。

すべての商品は1〜99点の間に散らばっているのである。
当たり前と言えば当たり前の話なのだが、
多くの人はこの事実を見落としてしまう。
すなわち、絶対に売れる商品を作ろうとしたり、
絶対に売れない商品だと烙印を押したりするのだ。

では作るべきは99点の商品だろうか。
そういう奇跡的な商品も世の中にはあるだろう。
だがそのような商品を作ることは現実的ではない。
言葉通りそれは奇跡なのである。

常識的に考えれば、ほとんどの商品は
30〜70点ぐらいのゾーンに収まっているだろう。
考えに考えて作ったところで
出来上がるのはその程度の商品なのである。

売れる商品を手に入れたいのなら
やるべきことはただひとつ。
作った商品がもっと売れる商品になるように、
1点でも多く取れるように、改善していくこと。
ただそれだけだ。

商品はもちろんのこと、そのネーミング、パッケージ、
売り方、見せ方、ターゲット設定、などなど。
改善できるポイントは山ほどある。

全ての商品は売れる。
売れない商品とは、
もっと売れる商品にするための努力を
途中で止めてしまった商品。
ただそれだけのことなのである。

 

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