さよなら採用ビジネス 第64回「日本が2派に分かれるとき」

この記事について

7年前に採用ビジネスやめた安田佳生と、今年に入って採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第63回『テレビ局のお家事情』

 第64回「日本が2派に分かれるとき」 


安田

日本は輸出大国だって言われてるじゃないですか。

石塚

はい。

安田

だからトヨタとか家電大手とかを、国をあげて応援してますよね。

石塚

ですね。

安田

でも実質、日本はそんなに輸出に頼ってるわけじゃなく「内需でもっている国だ」って言う人もいます。どっちなんですか?

石塚

じつは日本のGDP、つまり日本の国内総生産って、1990年代前半まで世界の20%近くを占めてたんですよ。

安田

20パーセント?

石塚

つまり、内需がそれだけあったわけですよ。

安田

すごいですね。

石塚

日本は加工貿易国だって習ったでしょ。

安田

習いました。

石塚

資源がない国なだら、輸入して加工して売るしかないと。

安田

はい。

石塚

でもそうじゃなかったんですよ。バブルがはじける前までは。

安田

今は違うんですか?

石塚

残念ながら日本のGDPは、2014年になんと6.5%まで落ちてるんです。

安田

そんなに?日本人の購買力が落ちたってことですか。人口も減ってますし。

石塚

おっしゃるとおり。このままいくと2030年には4%を割ると言われてます。

安田

何と!

石塚

アメリカは同じ時系列で22%、18%、17%です。つまりアメリカも少しずつ下がってるんですよ。

安田

日本だけじゃないと。

石塚

ところが中国は、17%、26%、28%と増えてるわけです。インドが、7、11、18。EUが、17、12、10、ちょっと日本に似てます。

安田

構図が塗り変わりつつあると?

石塚

はい。日本に関しては「おたく、だいぶ売上さがってるけど、社員を食わせられんの?」って感じですね。

安田

でもインドや中国って、もともと人口が多いじゃないですか。生産性もそんなに高くなかったし。

石塚

はい。その通りです。人口の多い国が生産性を高めていけば、GDPは劇的に上がっていきます。

安田

かつての日本も同じですか?

石塚

はい。日本も全く同じ構造でした。人口が多くて生産性が低い国だったので。

安田

アメリカもヨーロッパもそうですけど、生産性が上がると人口は減っていくんじゃないですか?

石塚

そういう傾向ですね。移民を受け入れない限り人口は減っていきます。

安田

で、その先はどうなるんですか?

石塚

今の日本と同じですよ。移民を増やすか一人当たりの生産性を高めていくしかない。

安田

ヨーロッパは移民を受け入れてますよね。

石塚

はい。アメリカも元々移民国家ですけどトランプは移民を嫌ってます。

安田

アメリカは移民を受け入れずに生産性をアップしたいと。

石塚

その方向に進んでますね。少しずつ中国に削られてますけど。

安田

日本はどうなっていくんですか?

石塚

移民と生産性アップと両方に手を打たないといけないでしょうね。

安田

どっちも遅れてますけど。

石塚

残念ながら。

安田

それ以外の方法ってないんですか?

石塚

たとえば?

安田
日本って購買力も落ちてますけど、売る側も減っていくわけじゃないですか。
石塚

そうですね。人口が減ってるので。

安田

わざわざ海外まで売りにいかなくても、いいんじゃないですか。世界の6%って考えてみれば立派な数字じゃないですか。

石塚

内需だけでいこうと?

安田

食べていくだけだったら「日本人が日本人に対して商売する」だけで十分じゃないですか。

石塚

江戸時代はまさにそんな感じでしたからね。

安田

でも「このままじゃ食っていけないから、早く海外に出るべきだ」っていう人もいるじゃないですか。

石塚

そこはすごく難しい議論で、正解がどっちなのかは僕も分からないんです。「縮小均衡でもバランスが取れてればいいんじゃないのか」って気もしますし。

安田

ですよね。

石塚

ただ歴史の中では、国家って必ず成長を目指して「右肩上がりの計画」を作って来たわけです。

安田

でも「ずーっと右肩上がり」なんて無理ですよ。どこかで破綻します。

石塚

今こそ安田さんの名著「下を向いて生きよう」の考え方が必要なのかもしれません。

安田

名著というか迷著ですね。まったく売れませんでした(笑)

石塚

出すのが早すぎたんですよ(笑)

安田

でも下向きとは言わないまでも横向きにはなりますよ。どこかで必ず。

石塚

まあそうですね。アメリカでさえ多分そうでしょうね。

安田

そうですよ。この先もずっと2桁成長なんて絶対無理ですよ。

石塚

先進国はもう無理でしょうね。

安田

「作れば売れた」時代から「モーレツに売り込む」時代になって、今は欲しいものを「向こうから買いに来てもらう」時代じゃないですか。

石塚

はい。

安田

わざわざ海外まで売り込みに行かなくても、「欲しいものが日本にある」となったら向こうから買いにきてくれますよ。

石塚

僕は大まかに言うと2派に分かれると思ってまして。

安田

2派?

石塚

安田さんがおっしゃってるような「内需もしくは観光客だけで食べていける」商売と、自動車やエネルギーのように外と絡まざるをえない商売。

安田

なるほど。でも外と絡まざるをえないところは、外資とくっついていきますよね。

石塚

いきますね。

安田

当然、その従業員の中の、日本人の割合も減ってくるでしょう?

石塚

減ってきますね。

安田

そうなると「それは日本の会社なのか」という議論になってきますよね。

石塚

前にも話しましたけど、優良中小企業を除けばほとんどが外資系企業になると思いますよ。

安田

じゃあ日本のエリートはそういうグローバル企業に入って、世界で活躍することを目指すべきなんですか?

石塚

どっちかに決めたほうがいいですね。中途半端なのがいちばんいけない。

安田

内需で食べていくか世界のマーケットで食べていくか。決めなくちゃいけないと。

石塚

そう思いますね。

安田

内需に関しても海外の人材が増えていくんじゃないですか?日本に修行にくる外国人も増えてるじゃないですか。

石塚

内需を拡大するにはそれが理想なんですけどね。

安田

難しいですか?

石塚

実際シリコンバレーは移民だらけですけど、残念ながら渋谷は日本人ばかり。


石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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