友人の会社の事業を引き継ぐ【読むPodcast | マネトレ96-後半】

「友人の社長から、倒産前に事業を引き継いで欲しいと相談されました」というご質問。友人として協力したい。でも、リスクが読めない。同業でもない。不安が募ります。(音声はこちら
円道

状況が細かくまったくわかりませんが。

大久保

でも、あるよね。「もう会社どうにもならんから、事業だけ残したい」みたいな。

円道

うんうん。

大久保

まあ、かしこいなとは思うよ。だいたい、会社と事業を一緒に捉えちゃうから。法人のなかで事業をやってるから、そこを別物と考えられる時点で頭いいというか、まあ、きちんと、なんかね……

円道

仕組みをわかってるってことですね。

大久保

わかってんのかな。たぶんこれ、悪いこと考えてると思うんだよね。

円道

ん!?

大久保

いや、そうじゃない?(笑)だって普通さ、事業だけ移すって考えないじゃん、そんなの。

円道

はぁー。

大久保

その場合はだいたい悪いと思うんだ。

円道

だから。

大久保

え?

円道

「悪いと思うんだ」じゃなくて(笑)

大久保

(笑)。なんかさ、悪いと思うんだ(笑)

円道

はー。

大久保

だから、この事業を誰か第三者に移しちゃって。で、「経営」って言ってるけど、もうちょっとちゃんと話したほうがいいと思うけど、事業はその社長が破産したあともやるんじゃない?そこで要はそのあとの生活費を稼ごうという。

円道

ほぉほぉ。

大久保

どんな事業かわかんないからあれだけど。

円道

事業自体は移してしまえば、事業として成り立つ事業だってことですか?

大久保

結局ハコを事業で借りてんだけど、ハコに借金とか付いてるから、倒しても、そのなかの収益を生むところだけをどっかに移せば、そこは残るじゃない?


円道

なるほど。

大久保

だから、いわゆる第二会社方式みたいなことをやるときは、そうやって選ぶこともあるんだけど、かなり違法性は高いよね。

円道

それって、どこにおいて違法になりうるんですか?

大久保

結局、だって債権者がいて、その事業に貸してるのに、それを移しちゃったら返済ができないじゃん。そうすると「その事業を適正な価額で移したのか」っていうことを問われるから。

円道

なるほど。

大久保

だから裏で移しちゃおうとするんだけど。

円道

うんうんうん。

大久保

基本的には、ちゃんとその事業の価値を算定して、正しい対価で引き継がないと怒られるよね。

円道

ああ、なるほどね。

大久保

そうすると、事業を残すわけだから。残す価値はあるわけじゃん。

円道

先生、質問です。

大久保

はい。

円道

事業を移すって、これでも、事業自体が回っるってことは事業体の人の雇用と、あと、要は契約ですよね。

大久保

そうそう。

円道

とかを新しいそっちの会社のほうにぜんぶ移管しちゃえば、勝手に事業がスライドするじゃないですか。

大久保

うん、うんうんうん。そう。

円道

そのときって事業譲渡といっても、お金発生ってするかしないかって、その二者間で決めればいいだけの話ではないんですか?

大久保

二者間で決めればいいんだけど、要するに「それで返済できたんじゃねーの?」っていうのは当然金融機関は思うから。

円道

あ~。

大久保

「だって、価値があるから移したんでしょ?」っていう。でも、事業によるよね。変な話、たとえばうちの会社で誰かが裏切って事業を勝手に立ち上げて、税理士法人を、お客さんを勧誘していったら、俺、被害者だもんね。

円道

はいはい。

大久保

で、「返せません」っていう……ほんとにそうならね。でも、そういうふうにしちゃうと……まあ、ほんとにそうってことはあんまりないんだろうから、なかなか難しいよね。

円道

うんうんうん。

大久保

だから質問に回答するなら、安易に受けちゃいけないし、それには普通、対価が必要。要は、「共犯で倒産させた」みたいな人になっちゃうわけじゃん。

円道

あ~。

大久保

まあ、共犯とは言われないけど、事業譲渡が否認される可能性はあるよね。「その事業を返せ」か「適正な額を払え」みたいな話にはなると思うんで。

円道

はいはいはい。

大久保

だから、まあ、移すっていっても、基本的にさっき言ったみたいに、人に付いてるビジネスとかだったら裏でもスッと移せちゃうんだろうけど、普通のやつは契約を変えていったりとかしていくので。

円道

なるほど。

大久保

そうね。だから、倒産前提だと、受けないか弁護士と動いたほうがいいと思うね、弁護士に相談して。

円道

はー、なるほど。ここは完全に「財務アタマ」じゃなくて「リーガルアタマ」ですね。

大久保

ああ、そうね。リーガルアタマ??まあ、法治国家だからね(笑)

円道

意外と法律めっちゃ得意ですもんね。

大久保

(笑)

円道

そういうことか。へぇ~。いや、質問してよかったですね。

大久保

だから気をつけたほうがいいし。絶対できないってわけじゃないけどね。

円道

なるほど。デューデリがどうとかっていうレベルの話だけじゃないってことですね。

大久保

ああ、そうそうそう。それ以前に「引き継いでいいのか?」っていう問題と………むずかしいよね、でも。協力的な、再生がわかってる弁護士さんだったら、そういうのも提案できるんだろうけどね、普通は破産だから「余計なことしないでください」みたいな感じにもなっちゃうと思うんだけど。

円道

うんうんうん。

大久保

ただ、やっぱり事業って破産してから売ったほうが確実なのよ、管財人から買ったほうが、事業を。ただ、1回止まると事業って価値なくなるじゃない?だいたいの事業って。

円道

はい。

大久保

「すごい有名なブランドで復活しました」みたいなのがあればいいけどさ、そういうのでない限り、やっぱ1回死んじゃうとお客さんってこないよね。だから、生きてるうちに移さなきゃいけないし、ただ、それには「生きてんだから、価値あるんだから金払え」って話にはなってくるっていう、そんな話かね。

円道

そうするとこの方は、受けるとすると結構、まあ、考え方はいろいろあるんでしょうけど、妥当な譲渡としての支払いをするって形であれば、いけるかもしれないっていうことなんですね。

大久保

そうだね。そうなるとほんとに、まあ、誰にとってかわかんないけど、両者にとってメリットがある取引になるのかっていうと、もしかしたら微妙なケースが多いよね。

円道

うーん、たしかにそうっすよね。

大久保

うん。「身銭を切ってもやってあげる」っていうぐらいだったらいいと思うけど。「回収できなくてもいい」っていうぐらいだったら。

円道

なるほど。じゃあ、友人の救いだと思って安易に事業譲渡のところだけをやっちゃうと、意外と巻き込まれちゃうっていうリスクがあると。

大久保

意外と巻き込まれるし、いいと思ってる人も結構いるっぽい感じで受けるからね。

円道

なるほど。

大久保

そこは、だから慎重にしたほうがいいかなって。

円道

一応、やる場合には弁護士を絡めて進めていくということか、大久保先生に連絡ください。

大久保

いや、そういう面倒くさいのはいいかな(笑)

円道

得意じゃないですか(笑)

大久保

いやいやいや(笑)

円道

いちばん得意な領域ですよね、このあたり。

大久保

いや、大変なのよ。もう、バイク乗る時間なくなるよ。

円道

ということで、ヒマそうですので、ぜひお問い合わせいただけたらと思います。

大久保

ヒマじゃねーよ(笑)

円道

というわけで、今日のところは終わりたいと思います。ありがとうございましたー。

大久保

ありがとうございまーす。

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