指示と実行の境目

人間にしか出せない価値。
人間でなければ出来ない仕事。
そういうものが確かにある。
裏を返せばそれ以外は
人間でなくても出来るということ。
いや、人間以上に出来るということだ。

たとえば初診における
医師の誤診率は65%にも及ぶ。
いずれ初診にはAIが導入されるだろう。
患者データからAIが候補となる病名を並べ、
そのリストと確率を見ながら医師が最終判断を下す。

AIは見落とすことがないし、
医師はアナログな情報も加味して判断することができる。
人とシステムは共存することが望ましいのだ。
では企業における人とシステムの棲み分けは
どのようになっていくのか。
私の予想は指示と評価をAIが取って代わる未来である。
いずれ中間管理職は組織からなくなっていくだろう。

会社は顧客に対して何らかの価値を生み出している。
その価値をいかに無駄なく効率よく生み出すか。
それが利益を決定する方程式だ。
上司が正しい指示を出し、部下が正しく
その指示を実行すれば、利益が最大化する。
上司が間違った指示を出したり、部下が
間違って実行すれば、利益は毀損する。

いかにしてここを100%に近づけるか。
それがカイゼンの本質である。
しかし人間に100%は難しい。
感情も混じるし経験が仇になることもある。
コミュニケーション能力も人によって違う。

つまり、すべての企業が「指示と実行のズレ」によって
利益を毀損しているのである。
ではその役割をAIが担えばどうなるのか。
指示と実行のズレを、
限りなく0に近づけることが出来るのである。

まず感情や経験による
コミュニケーションの齟齬が生まれない。
相手の知識やコミュニケーション力に合わせた
伝え方ができる。
それでもズレが出た場合には
瞬時にズレを補正する指示が出る。

どの部分でズレたのか。
どうやればズレが修正できるのか。
感情を交えず的確な指示が出せる。
ズレが正されれば評価は上がり、
正されなければ評価は下がる。
とてもシンプルである。

言われた通りにできない部下が無能なのか。
的確な指示を出せない上司が無能なのか。
そのように不毛な会話は組織から消滅する。

組織のトップにもAIのサポートが付く。
だが医者同様に最終決定を下すのは人間だ。
ここで経営に差が出る。
現場はできる限りの省人化の後に、
人間でなければ出来ない仕事だけが残る。
指示・管理・評価をする人間が消滅したとき、
会社の利益は最大化する。

 

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