第48回 経営者に求められる「勝負強さ」

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国18店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第48回 経営者に求められる「勝負強さ」

安田

今回は「経営者の素質」についての話を聞いてみたいと思います。経営者ってある程度「ギャンブラー的な思考」が必要だと思うんですよ。


倉橋

ああ、同感です。ここぞという時に何もしなければジリ貧になってしまうので。

安田

そうですよね。ちなみに私自身はギャンブラー気質じゃないんです。まあ、世間の目は違っているかもしれませんけど(笑)。でも、じゃあなぜギャンブラー気質じゃないんだろう、どこが苦手なんだろうと細分化してみたんです


倉橋
へぇ、面白いですね!
安田
そうしたら、そもそも「勝負事全般が苦手」なんですね。それまで普通にできてたことが、勝負になった途端にうまくいかない。ゴルフも1人でやるのは好きなんですけど、誰かとスコアを競いながら回るのは嫌いですし、麻雀もレートが高ければ高いほど楽しめないんです。

倉橋

そうなんですか。レートが上がると燃えてくる人が多い印象ですけどね。

安田

皆そう言いますよね。でも私にはそれがストレスで。


倉橋

ははぁ、でもビジネスでもそういうストレスというか緊張感ってありますよね。金融機関から資金調達するときとか。

安田
ああ、確かにあれはある意味ギャンブル的かもしれない。

倉橋

ね。でも資金調達できればそれが結果的に顧客の評価にも繋がるわけで。そういう意味では幸福感に繋がるギャンブルもある気がしますけどね。

安田

それは確かにありますね。そういえばサラリーマンだったころ、営業数字を追いかけるのがすごく嫌で。でも、「将来経営者になる」という目標があったから、必死に頑張って全国一位を取ったんです。


倉橋
おお、さすがですね。
安田
すると周りからは称賛されるし、達成感も得られる。会社を始めた頃も、事業を拡大して知名度が上がったりすると、刺激的で楽しかったのも事実です。……ただね、この年齢になって振り返ると、「自分はすごく無理をしていたんじゃないかな」とも思うんです。

倉橋
なるほどなぁ。うーん、すみません、僕は今のところ、ビジネスが楽しくて仕方なくて。
安田

そうですよね。だからこそ、経営者の資質なんだと思うんです。本当に経営者に向いてる人って、無理せずギャンブルできるんだろうなと。そういう意味ではやっぱり私は経営者向きではなかった。


倉橋
ふーむ、そうですかね。実際経営者として大いに活躍されたわけで、決して向いてないとは思いませんけどね。
安田

それで言うと、私は勝負事に勝ちたいわけじゃなくて、自由になりたくて経営者になったんだと思います。

倉橋
なるほど。そう言われてみると、僕は勝ち進むことを当たり前に目指しているなと思います。いま万代で東北や北海道で店舗展開しているのも、最初に東京や大阪で勝負するより全国展開しやすいからですし。
安田

なるほど。高校野球でいうと、まずは甲子園に出るために勝てる場所でチームを作ると。

倉橋
ええ、まさに(笑)。そう考えると、やっぱり勝負事が好きなんでしょうね。じゃんけん一つでも負けるのは嫌ですから(笑)。
安田

それはかなりの勝負好きですね(笑)。まぁ、人間だれしも負けず嫌いなところはありますから。ただ、今後はそれを手放した方が遥かに人生が楽しいんじゃないかと思い始めていて。

倉橋
なるほどなぁ。ちなみに昔はどうだったんですか? 「経営者たるもの、ナンバーワンを目指してしのぎを削る」みたいな雰囲気もあったと思うんですけど。
安田

そういうのは当時から苦手でしたね。そう考えると、生粋の「オンリーワン志向」なんだと思います。主流から外れたところで生きていきたいというか。

倉橋
そうか。経営者ってナンバーワンになりたい人の集まりだから、逆に安田さんみたいなタイプが目立つのかもしれません。しかも敵を作らないから、仲良くしやすいし。
安田

敵視するほど刺激がないのかもしれませんけどね(笑)。とはいえ事業を大きくしたい、たくさん稼ぎたい、という欲求はあるんですよ。できるだけ勝負を避けてゴールに辿り着きたいだけで(笑)。

倉橋
笑。安田さんを見ていると、そういう経営の仕方もあるんだろうなと感じます。
安田

そうはいっても、社員を雇って事業をやっているからには常に勝負をしていかないといけませんもんね。今は時代の変わり目だからこそ、特に勝負強さが求められている気がします。

倉橋
経営者でいる限り、永遠のテーマですよね。僕もいずれ万代の社長を交代することを視野に入れてますけど、やっぱり勝負強さは要素に入りますからね。
安田

そりゃそうですよね。私ももし今ワイキューブが続いていて、それを誰かに譲るとなったら、勝負が好きで勝負強い人に委ねたいです。自分とは真逆のタイプになっちゃいますが(笑)。

倉橋
なるほど(笑)。ちなみに僕は安田さんが経営者に向かないとは思わないですけど、確実に顔色はよくなられましたよね。
安田

ありがとうございます。なんだか人生相談みたいになってしまいましたね(笑)。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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