第109回 お客様の人生に併走できる美容師とは

この対談について

「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。

第109回 お客様の人生に併走できる美容師とは

安田

『ハウオリ』って、そもそもは「お客さんがセルフスタイリングをもっとラクに楽しくできること」というテーマがあるじゃないですか。つまり、技術自体は手段であって、目的はお客さんの普段のスタイリングにある。


岩上

そうですね。美容室ではバッチリだったのに、家でそのスタイリングが再現できなかった、と悲しませたくないんです。カットにしろパーマにしろ、自宅でも手軽に再現できる状態を作りたくて。

安田

確かに美容院でやってもらった直後のサラサラ・ツヤツヤ感が、翌朝にはもうなくなってしまっている、なんてこともありますからね(笑)。


岩上

そうですよね。「昨日の喜びは何だったの?」みたいな(笑)。だからこそ僕は、美容の技術って「お家でどれだけ役に立てる状態を提供できるか」が勝負だと思っていて。その研究の中でハウオリも生まれていったわけです。

安田

素晴らしいですね〜。でもちょっと不思議なのが、多くの美容師さんは「自宅での再現性」に無頓着に見えるんですよ。セット方法を熱心に教えてくれたりもしないし。


岩上

まあ、それはある種仕方ないことでもあって。というのも、施術したお客さんが数日後にまた来店される、って普通ないじゃないですか。

安田

ああ、そりゃそうか(笑)。普通は次の来店までは少なくとも一ヶ月は空けますよね。


岩上

そうなんですよ。だから美容師の発想としては「じゃあどうやって一ヶ月前の状態に戻すか」みたいな感じになる。「この髪型はいつから崩れているんだ?」みたいなことには思い至らないんです。

安田

なるほどなぁ。でも逆に言えば、なぜ岩上さんはそこに着目できたんですか?


岩上

それは僕の原体験からきていると思っていまして。僕は両親も美容師だったので、子どもの頃から親にカットされていたんですね。ところがいつも、切ってもらった翌日の髪型がすごく嫌で。親によく文句を言っていたんですよ(笑)。

安田

あはは(笑)。そういう時、ご両親はなんて仰っていたんです?


岩上

「そういうもんなんだから我慢しろ」って(笑)。だから僕、小4の頃からどうやったら自分が気にいるフォルムになるのか研究しまくっていたんですよ。それでわかったのが、朝シャンをすれば調子がいいんだ、ということ。

安田

朝シャンをする小学生の誕生ですね(笑)。


岩上

笑。ともあれ、そんな幼少期を過ごしていたので、「再現できない辛さ」がすごく理解できるんです。だからこそ今もお客様には洗い方、乾かし方、セットの仕方などをしっかりレクチャーさせてもらってます。

安田

岩上さんからセルフスタイリングの方法を直接教えてもらえるんですか! いいなぁ。私、そんなこと教えてもらったことないですよ。どんな風にレクチャーするんですか?


岩上

お客様にドライヤーを渡して、「ちょっとご自身で乾かしてみてもらえますか?」って。

安田

え、お客さんにやらせるんですか?!


岩上

普段の様子を見せてもらうことで、「こういう乾かし方をした方が、髪型が決まって1日ハッピーに過ごせますよ」というアドバイスができるので。だからお客様にドライヤーとブラシを渡して、僕は後ろで仁王立ちしながら見守っています(笑)。

安田

なるほど(笑)。でも冷静に考えてみたら、美容室に行くのは数ヶ月に一回しかないわけで。残りの日をいかに自分好みのいい感じな髪型を再現できるかって、すごく大事なことですね。


岩上

仰るとおりです。お客様の「素材美」を活かしつつ、今の年齢にしっくりくるような髪型だったり質感を提案するためにも、しっかりと相談に乗るっていうことが重要だと思っています。40代、50代になると、髪の「ツヤ」の出し方も変わってきますし。

安田

あぁわかります。この前、50代の男性が爪をピカピカに磨きすぎていたんですが、なんか違和感がありましたもん(笑)。


岩上

そうそう、それです(笑)。髪にしろ爪にしろ、20代の頃だったらツヤツヤしているのが良くても、年齢を重ねているのに若い頃と同じようにするのは、かえって「品(ひん)」がなくなってしまうんですよ。

安田

いつまでも若い時のことを引きずっていると「イタい」感じになっちゃうわけだ。


岩上

そういうことです。だからこそ美容師って「俯瞰した意見」をいうことも大事な仕事の1つなんだろうなとも思うわけです。

安田

今のその人にとって何がベストかというのを、客観的な視点をもって考えてあげるわけですね。


岩上

そうそう。もっと言うと、もし美容師が「ウチはパーマに特化したサロンだから」と1つの技術だけに固執していたら、お客様のお悩みが変わった時に対応できなくなっちゃうんです。

安田

あぁそうか。年齢が上がって白髪とか髪のボリュームについて悩みが出てきたら、別の美容室に変えなきゃいけなくなっちゃう。


岩上

そうそう。せっかくお客様が自分を信頼してご相談に来てくださっているのに、その悩みを解消する技術を提供できないのは申し訳ないと。だからこそぼくは、提案するメニューや提供できる技術の幅を広く持っていたいと思っているんです。

安田

いや〜深いなあ。岩上さんがずっと人気な理由がすごく腑に落ちました!


対談している二人

岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表

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美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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