この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。
安田
ついに大企業が新卒採用を抑えるようになってきました。
久野
はい。どの会社も採用数を下げていくことになるでしょうね。全体平均でも7〜8%ぐらい下がってます。
安田
パナソニックが100人削減でクボタは75%減。SBIの北尾さんはよほど優秀じゃないとそもそも人を採らないと言ってますし。
久野
安田
ここ数年、右肩上がりで求人倍率と初任給が伸び続けてきましたけど。やはりずっとは続かないですか。
久野
はい。大企業はずっと省人化の準備をしていたと思います。
安田
それにしても早くないですか?まだまだ採用し続けると思っていました。
久野
やはりAIの存在が大きいんじゃないですかね。もう止まらないと思います。
安田
久野
はい。中途も含めてどんどん人を採らなくなる。新卒なら尚更ですね。
安田
新卒はそもそも育てないと戦力にならないし。育てた頃には辞めてしまうし。
久野
これからは海外のように即戦力採用に移行していくと思いますよ。
安田
長年続いてきたメンバーシップ型の雇用はもう終わりだと。
久野
海外のようにジョブ型雇用が当たり前になるんじゃないですか。
安田
久野
1社目は基本的にインターン入社になるでしょうね。海外ではずっとそうじゃないですか。
安田
確かにそうですね。じゃあ企業はもう新卒育成はやらなくなると。
久野
採算が合わないですから。めちゃくちゃ安い報酬でトレーニング感覚の仕事になっていくと思います。
安田
まあ当然と言えば当然ですけど。「企業が育てるのが当たり前」という常識がおかしかったわけで。
久野
日本はそこがいびつだったと思います。しかも初任給が40万越えになってるし。
安田
久野
それで定着させることも出来ていないので。変えていかざるを得ないでしょう。
安田
久野
すごく難しくなっています。定着まで含めた新卒の戦力化の難易度が上がりすぎちゃった。
安田
とはいえ部下は必要ですよね。アシスタント的な仕事をする人がいないと組織も回らないし。
久野
アシスタント的な仕事はどんどんAIに奪われちゃってます。新卒を育てるための仕事がないんですよ。
安田
久野
昔は「練習みたいな作業」が結構いっぱいありましたから。それを反復継続することでパソコンが速くなったり。今はもうそういう仕事自体が無いんです。
安田
新人の教育用の仕事がAIに奪われちゃったということですね。
久野
無理に仕事を作って教育してもすぐに辞めてしまうし。
安田
育ててもらった恩を「返してから辞める」という発想はないんでしょうか。
久野
もうないと思います。力がついたら次に行くのが当然というか。
安田
そうなると今の初任給では新卒育成なんて見合わないですね。
久野
安田
とはいえ海外のインターンみたいな超低賃金にはできない気もしますが。
久野
そこはちょっと時間がかかるでしょうね。ただ最後はそうなるんじゃないですか。普通に考えたら経済合理性がないですから。
安田
いずれにしても大企業はもう新卒を育てる気はないと。
久野
人を育てるという日本的なカルチャーは持っていると思います。ただそれは優秀な人をさらに伸ばしていくための投資ですね。
安田
久野
はい。海外でも教育にはすごくお金を使うんですけど、新人育成には使わないです。
安田
この先、新卒採用を減らす会社はどんどん増えていきますか?
久野
たとえばAIを使いこなせるような新卒だったら即戦力に近いじゃないですか。そういう採用に変わっていくと思います。
安田
久野
そこはインターンで学んでもらうことが大前提ですね。
安田
大手が新卒を採らなくなったら中小企業にはチャンスですか?
久野
チャンスではあるけど、ちゃんと残せるかどうかは別問題でしょうね。
安田
久野
安田
そうなりますよね。妥協して1社目を選ぶことになりますから。スキルがついたら条件のいい会社に移っていく。
久野
安田
久野
だから企業が新卒を育てる時代は終わっていくと思います。そもそも「企業に育ててもらう」という発想がおかしいんですよ。
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安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。