この記事について
税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。
東南アジアに旅行した人は、口を揃えて「日本は遅れてる」って言うじゃないですか。
「もう、最先端ではない」というのは、私も実感しています。
先進国の中では、日本だけがどんどん給料が下がってますもんね。
それが実態ですね。
でも、いまだに「先進国気分」の日本人って多いですよね?
はい。早く目を覚ましたほうがいいです。
韓国にも抜かれそうなのに、「国交断絶してしまえ」みたいに言う人いるじゃないですか。「韓国は、俺たち抜きじゃ食っていけない」みたいな。
そう信じたいんでしょうね。
本当は気がついてるんでしょうか?
気がついてなきゃ、ちょっとおかしいです。
「日本人の賃金は上がり続けてて、景気も良くなり続けてた」みたいな話でしたけど。
じつは「一部の企業だけの抜粋だった」みたいな。
あれは改ざんだったのでしょうか?
コメントしづらいです(笑)
肌感覚として「給料上がってるはずないよ」って、みんな分かってたと思うんですよ。
そういう感覚はあったでしょうね。
じゃあ、やっぱり改ざんがあった?
改ざんはしてないってことになってますんで(笑)。ただ、良くなってる実感を持ってる人は少ないですよね、現実的に。
じゃあ、改ざんじゃなくて、忖度ですか?
食い込んできますね(笑)
だって毎年、調査対象を変えて「収入が増えているように」見せてたんですよ。改ざんなのか、忖度なのか、はっきりしていただきたいです。
やっぱり現政府としては、都合が悪い部分はありますよね。減ってるっていうのは。
ぶっちゃけどうなんですか。日本人の所得は増えてるんですか?それとも減ってるんですか?
中小企業に関していえば、減ってるというより「増やせてない」という感じですね。
じゃあ、減ってはいないと。
いや、物価はなんだかんだ上がってるので、相対的には減ってますね。
日本人の99パーセントは中小企業で働いているわけですから、賃金は「下がってる」と言ってもいいですよね。
そう思います。
周りの国は、上がってるイメージですけど。
日本以外の国が上がっていくことは、もう間違いないですね。
じゃあ、日本だけですか。
日本は、貧乏になってきてる。それは間違いないです。海外に行って一番感じるのは、思ってたより高いってこと。
物価が高いってことですか?
はい。上海なんかで外食しても、すごい安いかって言ったら、そんなことはない。
そうですよね。思ったほど安くないですよね。
安くないです。
なんだったら、日本のほうが安かったりしますよね。
日本は安いですね。
給料上がらないのは誰の責任なんですか。政治家ですか?それとも経営者ですか?
「日本は安くてサービスもいい」みたいなイメージって、あるじゃないですか。
ありますよね。
そういう文化とか「おもてなし」みたいなところも、あだとなってる気がします。
「サービスはタダ」っていう感覚がありますもんね。日本には。
海外に行くと、すごくそれを感じます。人が動いた瞬間にチップ払わされるし。
ですよね。サービスはすべて有料。
アメリカのホテルなんてチップ置いとかなかったら、ちょっと雑に掃除されてたりする。
私も経験あります。
基本的に海外って、お客の側が「ありがとう」って言う感じですよね。
お金払って「サンキュー」って言う文化ですからね。「サービスは金がかかる」っていうのを、顧客側もしっかり理解してる。
欧米だけじゃなく、東南アジアなんかでもみんなそうですよ。
日本のお客さんって、大して金払ってないのに要望が強いイメージですよね。
そうですね。スマイル0円みたいな。
だから、コンビニで大声出して怒鳴ったりするんですよ。土下座させたりとか。
店長が出てきて謝ったりしますからね。
叩き出せばいいんですよ。そんな客は。
ホントですよね。コンビニでそんな要望すんなよって感じ。
「高級ホテルに行ってやってくれ」って思います。
巡りめぐって、自分に返って来るんですけどね。
ですよね。みんな顧客であると同時に、労働者でもあるわけですから。
そうなんですよ。お互いに足を引っ張りあってるような感じ。
料金についてもそうですよね。自分がサービスに金を払わなければ、自分のサービスにも払ってもらえない。
日本って、サービスを求めすぎなんですよ。今のままだと完全に悪循環ですね。
IKEAなんて、姿勢が明確ですもんね。
そうですね。丁寧に説明してくれる人もいないし、自分で組み立てるのが大前提ですから。
気に入らないなら「来てくれなくて結構」っていう姿勢が、明確じゃないですか。
だからこそ、その分安くなってるわけで。
ですよね。そのへんを割り切れないのが、日本文化なんでしょうか?
それを「日本のいいところ」だと、勘違いしてる。
もう結果が出てますもんね。
はい。ビジネスにおいては完全に「悪しき文化」となってます。
日本人って、ソフトにお金を出したがらないですよね。
あと、見えないものにお金を払わない。
お互いが値切りあって、今があるわけじゃないですか。
そうなんですよ。これを逆転させないといけない。
じゃあ、お互いに値上げし合って、きちんと払い合って。
優秀な経営者の人って、元々そういう感じなんですよね。
値切らないってことですか?
何でもかんでも値切らないし、逆に合わない仕事はきちんと断る。
それ、大事ですよね。
僕らの仕事って、仕入れとかないじゃないですか。
人件費はかかりますけどね。
そこを理解してくれる人は少ないです。
値切られるってことですか?
「これぐらいはやっとけ」と思ってますね。「ちょちょっと変えるだけでしょ」みたいな。
そういう場合はどうするんですか?
ちゃんと請求するか、合わない仕事は断ります。
そこで断れないと、どんどん安くなっていきますよね。
はい。どんどん安くなって、どんどん疲弊していきます。
どっちが先なんですかね?値切る人と、それを受けてしまう人。
値切る人じゃないですか。
値切ることをやめれば、自分も値切られなくなると。
そういうことです。これだけ中小企業が低迷してるのは、そういう考え方がまだ残っているから。
他人の仕事に対するリスペクトがないってことですね。
自分もやってるんだから、お前らも「おもてなししろ」みたいな。おもてなしの悪循環です。
久野勝也
(くの まさや)
社会保険労務士法人とうかい 代表
人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は地元である岐阜県多治見市。
事務所HP https://www.tokai-sr.jp/
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。