【GlobalPicks/vol.095】2020年版:外食産業における消費者トレンド

GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜
著者:小出 紘道



brand watchというサイトで見つけた「外食産業のトレンド」について紹介しています。

今回の記事はこれ
2020: Consumer Trends for the Restaurant Industry
2020年版:外食産業における消費者トレンド
https://www.brandwatch.com/blog/consumer-trends-restaurant-industry-2020/

6つのトレンドが予測されていまして、リストは下記のとおりです。
1. Politics is unavoidable
2. Staff behavior is incredibly important
3. Lone diners and shareable experiences
4. Vegan items continue to cause a stir
5. Quality, quality, quality
6. The continuing battle of online personalities

先週は、「2. Staff behavior is incredibly important」を見たので、今週は「3. Lone diners and shareable experiences」を見ていきます。

3.Lone diners and shareable experiences(ひとりご飯して、シェアできる体験を)

Solo dining out is a trend that seems to be continuing to rise . This presents an interesting opportunity for restaurants – either solo diners can be neglected (after all, they’re not going to spend as much as a table of six), or staff can treat them to a delightful experience they’re likely to share.

「お一人様外食」は拡大傾向のトレンドです。こうしたトレンドはレストランにとって興味深いチャンスになっています。「お一人さまは、大人数のテーブルよりも少額しか使ってくれないから軽視する」のか、それとも「お一人様に素晴らしい食事体験を提供して、その後良い体験をシェアしてもらう」のか?

「おひとりさま外食」でも「ぼっち飯」でもいいのですが、英語ではsolo dining outとかlone dinerという表現になります。eating aloneでもいいですね、これが一番「ぼっち飯」に近いですかね。

ちなみに、もう少し大きな概念としての「お一人様消費」は、solo economyと表現できます。
近年、sharing economyとともに、マーケティング界隈ではbuzz word化していますね。

というわけで
sharing economy:共有経済
solo economy:お一人様経済/お一人様消費
を押さえておきましょう。

一昔前は、「携帯の電波がつながること」「ネットが繋がること」だけでも大きなValueでした。
ほんの少し前には「SNSで繋がれること」が大きなValueとして追加されましたが、同時に「海外では電話かかってこないから気がラク」とか「飛行機の中は邪魔されずに仕事できるから集中できる」という声に代表される、「分断されることの心地よさ」をValueと認識する人が出てきました。
今や「海外でも当然オンラインは当たり前」ですし、「飛行機の中にもWi-Fiが飛んでる前提」になってきているので、「分離」「分断」「圏外」という価値がさらに大きなValueを持ち始めています。
「圏外の価値」「分断の価値」が今後バブっていくのではないでしょうか?

しつこいですが、「圏外」こそがValueであり、「分離・分断」こそがValueなのです。
ここに、Solo Economy(お一人様消費)が、決してLonely Economy(孤独消費)と呼ばれない「所以」があります。

人は自ら進んで「Solo」を求め、一人のペルソナの中に「Solo」と「Share」が共存するのが、これからの顧客セグメンテーションの基本となるでしょう。30歳の女性であれば、同一人物の中に「F1/Solo」と「F1/Share」という「年代×シーン別セグメント」が共存するということですね。

原文の文脈で行くと、Solo Experienceは、その後Shared Experienceとして特定および不特定多数に拡散されますので、サービス提供側も「そこにいる1人」に対するサービス提供が、ひいては「その人が繋がっている多数」に波及するから、solo dining out は「最重要顧客」なのです。

なんともサービス提供者泣かせな時代になったものです。。。


「本コラムと、本業ビジネスとの関係」(著者・小出紘道より)

本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。

著者情報

小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)

◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ
代表取締役社長
http://citation-sp.co.jp

◆株式会社シタシオンジャパン
取締役会長
http://www.citation.co.jp

◆株式会社 イー・ファルコン
取締役
http://www.e-falcon.co.jp

<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた)
・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった)
・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった)
・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった)
・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)

 

著者ページへ

感想・著者への質問はこちらから