【vol.252】2023年の小売業界のトレンド(SDGs Washing)

GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜 著者:小出 紘道


引き続き、「2023年の小売業界のトレンド」についての記事を見ています。

今週の記事はコレ
10 Future Retail Trends & Forecasts for 2022/2023
2022-23に向けて考える10の「未来の小売トレンドと予測」

コロナ禍からコロナ後にシフトチェンジした世界で、小売業界がどのようなトレンドを形成していくのか?という視点です。
(https://financesonline.com/retail-trends/)

10のトレンドと予測は下記の通りです。

先週は「8. The “Experience Economy”」を見ていきました。今週は「9. By your powers combined」の部分を見ます。

9. By your powers combined
(力の結集)

Sustainability is not optional anymore, as far as consumers are concerned. A study from Unilever highlights the changing stance of consumers in this aspect. 21% of consumers now report that they would prefer brands with an active environmental responsibility campaign.

消費者にとって、サステナビリティはもはや単なるオプションではない。ユニリーバの調査では、この点に関する消費者の姿勢の変化が浮き彫りになっている。21%の消費者が、積極的な環境保護キャンペーンを実施しているブランドを好むと回答している。

このテーマもSDGs文脈ですね。
ブランドイメージを向上させて、購買の選好対象になるためには、環境保護等のサステナビリティへの取り組みが必須、ということが書かれています。

「ただし、話はそんなに簡単ではないよ」というのが、原文では続いています。

Consumers also detect facile environmental initiatives that are mere ad hoc campaigns. This is why most companies are now using sustainable and ethical practices more closely aligned with their organization’s values.

また、消費者は、その場しのぎのキャンペーンに過ぎない安易な環境保護活動を見抜く。よって、多くの企業が、組織の価値観に沿ったサステナブルで倫理的な活動を行うようになっている。

要するに、サステナビリティ(環境保護などの)に関する「見せかけの活動」を、消費者は見抜けるようになってきているので、そもそも企業の「価値観」とマッチしていない不自然なSDGs活動なら、ブランド価値の向上には繋がらない、という感じでしょうか。

今回は「いつか役に立つかも英単語」として、「SDGs Washing(SDGsウォッシュ)」を取り上げたいと思います。
この、SDGs Washingこそがまさに先ほどの「サステナビリティ(環境保護などの)に関する“見せかけの活動”」を指します。

企業のHPなどでも「根拠が無い」にもかかわらず、「弊社は持続可能性な社会に貢献できるように取り組んでいます」みたいなPRが散見されますが、多くの場合、これらはSDGs Washingです。

消費者は、ここ数年で多くのSDGsを訴求する企業に触れてきているので、こうした見せかけのSDGs Washingは見抜かれてしまって、逆にブランド価値を毀損しかねない状況になってきました。

まとめると、2023年以降重要なのは、「SDGsへの取り組み」というよりも「SDGsに取り組んでいないにもかかわらず、取り組んでいるかのように振る舞って、消費者にそっぽを向かれないように心がけること」ではないでしょうか?
 

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「本コラムと、本業ビジネスとの関係」(著者・小出紘道より)

本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。

著者情報


小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)
◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ 代表取締役社長 http://citation-sp.co.jp
◆株式会社シタシオンジャパン 取締役会長 http://www.citation.co.jp
◆株式会社 イー・ファルコン 取締役 http://www.e-falcon.co.jp
<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた) ・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった) ・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった) ・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった) ・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)
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