第83回「地域から愛される、日本で一番古い小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「地域から愛される、日本で一番古い小さなブルーオーシャン」


「北海道の3軒に1軒のコンビニエンスストア」

いまや私たちの生活に
なくてはならなくなった
コンビニエンスストア。

いつでも、どこでも
大手三社と言われる
コンビニエンスストアを
見かけるようになりました。

さて、大手三社以外の
コンビニエンスストアは?
と聞かれて、どう応えるでしょうか?

「セイコーマート」
と応える人はどのくらいいるでしょうか?

北海道民にとって
馴染みのあるコンビニエンスストアと言えば、
“セコマ”の愛称で知られる
「セイコーマート」
です。

コンビニエンスストアではあるのですが、
手ごろな価格で地元産を使用した商品を楽しめるので、
実は道外から訪れる観光客にも人気となっています。
そんなセコマですが、第1号店がオープンしたのは
1971年8月10日。酒の卸をしていた創業者が、
米国で成長していたコンビニに目を付け、
札幌市内に1号店をオープンしたのがスタートです。
つまり2021年8月に50周年を迎えたということですね。
ちなみに、コンビニ最大手セブンイレブンの創業は1974年です。
つまりセコマは現存するコンビニの中で
最も古い存在ということになります。

Wikipediaからの画像

このセコマが小さなブルーオーシャンな理由、
その最大の理由は、やはり地域密着の強さです。

それを示す驚異的な数字があります。
北海道には全部で179の市町村があります。
その中で、セコマがあるのは、175市町村。
なんと地域カバー率は97%、
人口カバー率は99.8%です。

北海道には、離島も存在します。
奥尻島や利尻島、礼文島などなど。
セコマは、大手三社も出店していない、
この離島にも出店しています。

また、人口1300人ほどの初山別村に
店舗をオープンしています。

大手コンビニは通常人口3000人の
商圏を目安に出店するのだそうです。
セコマは地域住民の利便性を重視し、
大手が進出しない地域にも入り込んでいきます。

コンビニエンスストアですから、
買い物ができる店舗網があるのは当然として、
地域産品の積極的な活用、
地域での雇用など、
本当の意味で地域に根づいているのです。

ちなみに、最大震度7を記録した北海道胆振東部地震では、
道内が停電になったときも、
セコマは車の電源を利用するなどし
95%以上の店舗が営業を続け、
被災者らの生活を支え、称賛されたのです。

コンビニエンスストアとして生活を支えるだけではなく、
地域密着インフラになっているということが、
小さなブルーオーシャンになっているのだと思います。

 

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佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

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