第137回「なぜ今までなかった?PTA代行という小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「なぜ今までなかった?PTA代行という小さなブルーオーシャン」


「ようやく出ました!子を持つ親が待っていた代行サービス」

「PTAの活動が忙しすぎて仕事に支障が起きた」
「会議のために学校に行くことは非効率」
「わが子のためとはいえ、面倒なことが多いPTAは遠慮したい」
「少人数だったせいで、やたらとPTAの仕事が回ってくる」
「9割以上が女性で“マウント”の取り合い」
「ボスママのイジメに遭った」
などなど、印象の悪いPTA(Parents Teacher Association)。

PTAの歴史は古く、日本で始まったのは1945年。
アメリカから派遣された教育の専門家が、
戦後の日本の教育について示した基本方針のひとつで、
文部科学省を通じて全国的に広がりました。

学校の先生や地域の人たちと協力しあって学校運営に取り組み、
子どもたちのすこやかな育ちをサポートしていくという
目的なのですが…

戦後と比べて、
共働きが増え、
生活様式もがらりと変わった現代ですが、
学校のあり方、PTAのあり方は
変わっていないために、
今には合わなくなってきている気がします。

現に、実際の会議の方法については、
57%が「学校でのオフライン開催」だそうで、
必ず学校に行かなければならないわけです。


フリー素材「ぱくたそ」からの画像

そんな中で、近畿日本ツーリストが始めた
新サービス「PTA業務アウトソーシングサービス」
が注目を浴びています。
というより、今までなんでなかったんだろう?
と思いますが、これも閉鎖的な学校の弊害だと思います。
では、近畿日本ツーリストはどうして始められたのでしょう。

そもそも旅行代理店は修学旅行や部活動の遠征など、
昔から学校と深く関わってきています。
さらに近鉄グループに目を向ければ、
電車・バスなどの運輸部門や関連会社のレジャー部門、
近鉄百貨店などの流通部門、CATV・ネット事業、
総合人材サービス業など、かなり多岐に渡る。
PTA代行サービスは、こうしたグループ各社の
リソースをフルに生かしたものとなっているとのこと。

PTA業務アウトソーシングサービスの内容は
PTA専用のサイト作成や、
運動会など学校行事の企画、プロデュース、人材派遣、
さらに広報誌のデザインや印刷など、
多岐にわたる「PTA業務」を代行してくれるそうで、
報道によればサービス開始から1か月余りで、
保護者や学校から約40件もの問い合わせがあったと
言います。

私は多くの企業で経営者の方々と話していて、
もったいないなぁと思うことがあります。
それは業界の慣例やしがらみがあって、
難しい、出来ない、というコトバ。

確かに困難ではあるのでしょうが、
それがひっくり返れば、
一気にブルーオーシャンになるのでは?
と思うのです。
今回の事例では、
リソースが揃っているからこそ
実現したとも言えますが、
それだけではなく、
タブーとされていた部分に踏み込んだこと、
学校と保護者の両方にメリットがあるように
したことが勝因ではないかと思います。

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PTA業務アウトソーシングサービス
企業名 近畿日本ツーリスト株式会社
URL https://gtc.knt.co.jp/pta/
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佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

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