マネタイズの境目

ひとまとめにされることが多いGAFAであるが、
そのビジネスモデルには大きな違いがある。
中でも最大の違いはマネタイズ手法ではないだろうか。
まずApple社は実商品をつくっているメーカーだ。
もちろんソフトやネットワークも提供しているが、
そのベースはiPhoneやMacBookなどの商品である。

次にアマゾン。
ここもマネタイズに関しては明確である。
ネットというインフラに目が行きがちであるが
アマゾンは物流企業だ。
いかに安いコストで、いかに早く届けるか。
物流を便利にすることで販売量を増やし、
集客と販売を依存する企業から課金する。

この2社のマネタイズは
既存ビジネスの域を出ていない。
それに比べて残りの2社は
マネタイズ自体がイノベーションだと言える。

GoogleとFacebook。
この2社はネット広告という
マネタイズを編み出した企業だ。
そのマーケットをつくったのはGoogleである。
情報検索を軸としたあらゆるサービスを無償提供し、
検索した情報に合わせた広告枠を販売する。

後から考えれば普通に思えてしまうが、
あの規模・あのクオリティーのサービスを
無償で提供するのは尋常の発想ではない。

一方のFacebookは後追いではあるが、
マネタイズを成功させている点で
他社とは一線を画している。
似たようなSNSサービスであるTwitterは、
その認知度ほどにマーケットでは評価されていない。

それは広告がマネタイズの柱として
機能していないからである。
ではYouTubeはどうだろう。
動画の間に入る広告はマネタイズの軸となるのか。

YouTubeの潜在能力を見越して
買収したGoogleはさすがである。
おそらくYouTubeはテレビにとって代わる
メディアへと成長するだろう。
だがマネタイズに関しては
まだ途上であると言わざるを得ない。

ネットユーザーはテレビのように受動的ではない。
ただ座って流れてくる広告を見続けたりはしないのだ。
故にこのマネタイズ手法を
そのままテレビから奪うことは難しい。

そこで考え出されたのが
「広告を見せない」というマネタイズである。
動画を見ることに課金するのではなく、
動画(広告)を見ないことに課金する。
これはなかなか画期的なマネタイズである。

これから生き残っていく企業には
イノベーションが必須となるが、
中でも最重要なのがマネタイズのイノベーションである。
単に何かを提供するだけでなく、
提供しないことまで含めた発想の転換が必要だ。

 


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