ゴールから逆算せよ

経営は終わりなきエスカレーターだと言われている。
下りのエスカレーターをひたすら上り続ける行為に
似ているから。ちょっとでも速度を落としたり、
立ち止まったりしたら、あっという間に下がってしまう。
下がり続ければいつか必ず潰れる。

この恐怖に打ち勝つために、経営者は今日も
下りのエスカレーターを上り続けるのである。
この考えの半分は正しい。
成長を止めた会社は必ずどこかで淘汰される。
なぜなら周りの環境が変化するから。
生き残るには自らも変化し続けることが必須なのである。

しかし生き残るための変化が上昇や拡大とは限らない。
地球上の生物を見ても、必ずしも大きなものが
生き残ってきたわけではない。
環境に適応したものが生き残ったのである。

進化に関しては結果論だ。変化した結果、
環境に適応できた種もあれば、
適応できなくなった種もある。
様々な変化を繰り返すことで、
たまたま環境に適応した種が生き残っていく。
それが進化の本質である。

だが会社経営は結果OKというわけにはいかない。
生き残るべくして生き残る戦略が必要なのだ。
それはひたすら拡大することではない。
大きな種は確かに争いには強いが、
生き残るために膨大なエネルギーを必要とする。
つまり生きていける環境がとても限られてしまうのである。

氷河期を生き残った哺乳類(われわれの祖先)は
ネズミほどの小さな動物だったと言われている。
小さな個体は寿命が短い。つまり世代交代の
スピードが早く進化の速度も速いのである。

どんな環境変化にも適応しながら自らを変化させ、
なおかつ大きくなり過ぎず必要なエネルギーを抑える。
食料の種類や住む場所を限定し、大きな生物との競争を避ける。
これこそが最上の生き残り戦略なのである。

我々経営者は下りのエスカレーターの恐怖から、
ついつい上昇・拡大を目指してしまう。
しかし単なる拡大はゴールのない行進と同じだ。
いつか必ず力尽きる。

もはや地球上には家畜以外の大型動物はほとんどいない。
人の手を借りず生き残っているのは小さな種ばかりなのである。
だがその生息域は地球全土に及ぶ。深海でも、砂漠でも、
極寒の地でも、環境に適応した小さな生物は生き続けている。

住む場所を決め、食べるものを決め、
自らの大きさを限定し、小さな理想郷を手に入れる。
そこが目指すべきゴールだ。
もちろんゴール到達後にも変化は必要である。
だがそれは生息域を拡大するための変化ではない。
ゴールに適応し続けるための変化なのである。

 

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