3本足打法のススメ

この会社をクビになったら生きていけない。
そんな会社員はあまりにもリスキーである。
このクライアントと切れたら生きていけない。
そんなフリーランスもリスキーである。
この会社を失ったら生きていけない。
そんな経営者もまたリスキーである。

立場や働き方は違うが
彼らに共通している課題は同じである。
それは「これを失ったら生きていけない」
という対象に縛られているということ。
私は常々「会社員はリスクである」と申し上げている。
だがそれは会社員だからリスクなのではない。

その職を失ったら生きていけないことが
リスクなのである。
クビになろうが、会社がなくなろうが、
仕事に困ることはない。
それなら会社員でも全くリスクはない。
リスクなのは1社への依存状態だ。

私はフリーだから会社に縛られてない。
そう言いながら1社のクライアントに
縛られているフリーランスは多い。
売上の大半を依存しているため
契約が切れたら生きていけない。
こうなってしまうと相手の言いなりである。

単価が安かろうが、納期がキツかろうが、
仕事が面白くなかろうが、断ることができない。
これなら労働法に守られた会社員のほうが
ずっとマシである。
雇う立場である経営者もじつは同じである。

この会社の社長業しかできない。
この立場を失ったら食っていけない。
そういう社長はたくさんいる。
ただし本人がそれに気づいていないケースが多い。
オレはいつでもひとりで食っていける。
そう思い込んでいる社長がとても多い。
だが現実はそんなに甘くはないのである。

社長も、社員も、フリーランスも、
背負っているリスクは同じ。
ここを脱する方法はひとつしかない。
それは複数の収入源を持つこと。
そのために自分の役割を分けるのだ。
そもそも役割を固定化すること自体がリスクなのである。

雇う側と雇われる側。
仕事を発注する側と受注する側。
ここを固定するから選択肢が狭くなる。
ある時は発注者としてお金を払う。
ある時は受注者としてお金をもらう。
ある会社では経営者、ある会社ではパートナー、
ある会社では外注のフリーランス。

単なる副業ではなく
幾つもの立場で仕事をこなしていく。
私は社長だ。会社員だ。フリーランスだ。
そう決めているのは自分自身である。
「それしかできない」という
一本足打法はとても危険なのだ。
複数の役割をこなす3本足打法。
それが最も理に適った新時代の生き方なのである。

 

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1件のコメントがあります

  1. 複数の顔(副・福・幅・伏・復・・・・業)を持つ、可能性の発揮と思いました。コラム、ありがとうございます。

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