令和時代のシン中小企業

求人にお金をかけてもぜんぜん人が来ない。妥協して採用し、給料を払いながら育てるしかない。そこまでやってもあっさり辞めていく。採用、育成、定着に、とんでもないコストがかかる時代。もっと優良な顧客を増やしたい。安さを求める顧客ばかりだ。広告を出しても一向に効果がない。集客、販売、利益率アップに打つ手がない時代。

このように先が見えない時代でも、まったく採用に困っていない会社がある。広告費を使わず、どんどん優良顧客を獲得している会社がある。特殊な業界・特殊な商材を扱う会社の話ではない。よくある業界、よくある商材にも関わらず、採用にも集客にも困っていないのである。

彼らは高い定着率と収益性を実現している。社員一人当たりの粗利が驚くほど高い。それが令和時代のシン中小企業の特徴である。このモデルの共通点は3つ。1:明確な商品コンセプト。2:面白いビジョン。3:社長自身の発信力。

まず高収益を実現するために欠かせないのが商品コンセプト。それは他の商品と「何がどう違うのか」を明確に語る言葉だ。コンセプトがあることでターゲットにはその商品が「特別なもの」に見える。

次に人を惹きつける面白いビジョン。もはや労働条件だけで人材確保は不可能な時代。必要なのは崇高なビジョンではなく、壮大なビジョンでもなく、心が躍る面白いビジョン。令和時代の優秀人材にとって、仕事の面白さこそがそこにいる意味なのである。

そして最後に社長の発信力。これはすべての要である。自らの言葉でコンセプトを熱弁し、自らの存在によって面白さをアピールすること。この人は本気でビジョンを実現しようとしている。この社長と仕事をしたらめちゃくちゃ面白そうだ。マーケットにそう感じさせるPR業務。これが令和のシン中小企業における経営者の最重要ミッションである。

これから人材不足と人件費の高騰はさらに加速する。コストアップと価格競争の激化も止まらない。これまでの常識で令和を乗り越えることはもう不可能だ。選択肢は3つ。ひとつ目は事業売却。売却するなら売り時を逃さないこと。2つ目は新たなCEOへの世代交代。育てるのではなくスイッチすること。そして3つ目は社長自身の変化。やり続けるならPRから絶対に逃げないこと。採用も集客も社長以外には出来ないと腹を括るのである。

 

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