経営者の仕事

経営者の仕事とは何なのか。人や組織のマネジメント。資金調達や支払いの決済。商品開発、販売戦略、納品管理などなど。考えてみれば社長はやることが山積みである。しかしこれらは戦いで言うところの戦術であって戦略ではない。極論すれば社長でなくても出来るし、むしろその方が理想的だとも言える。

では経営トップの仕事とは何なのだろうか。中小企業経営者に尋ねれば「すべてである」と答えるのではないだろうか。人も資金も足りない環境で社長は全てを自給自足するほかないのである。資金調達をやり、人集めをやり、教育をやり、営業もやり、納品現場にまで責任を持つ。それが実態である。

だが先ほど述べたようにこれらは戦術であって戦略ではない。任せられる人がいないからやってきただけ。それでも経営が成り立っていた時代は良かったのだろう。だが時代は移り変わっていく。業界という大きな流れの中で決められた役割をしっかりこなす会社。それはもう風前の灯と言えるだろう。

決定的なのはそこに「違い」がないことである。違いなどなくてもこれまで経営は成り立ってきた。だがこれからは違いがないともう成り立たない。なぜなら価格差は違いからしか生まれないからである。違うから高く売れる。高く売れるから高い報酬を払える。この土台がないともはや経営は成り立たない。

では違いを生み出すものは何なのか。実はこれこそが経営者の役割なのである。その人だけが持つ思想や哲学や価値観。これが違いの源泉となる。それは計算可能な効率や損得であってはならない。計算が合わない、むしろ非効率な判断基準。それが「こだわり」として決定的な違いを生み出していく。

時代に逆行するようだが最も必要なのは哲学である。思考を深め、感性を研ぎ澄まし、考える必要がない(と思われてきたようなこと)を考える。これこそが経営者の仕事なのだ。立派な理念やスローガンはAIを使えば作り放題であり、その価値はゼロに近づく。哲学なき言葉はフェイク動画と変わらない。

社長の存在価値は揺らがない哲学を持って「そこにいること」である。飾らず、偽らず、素の自分をさらけ出せる人。それが経営者の条件となるだろう。この人なら信頼できる。この人と働きたい。この人の会社から買いたい。トップの哲学が生み出すワールドの大きさがそのまま商売の大きさになっていく。
 

 

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