第51回 わび和さび -社長峠のことわざ

この記事について
半世紀も生きてきますと、【ことわざ】の持つ意味が、より深く染みるようになりました。昔の人はうまいこと言ったもんだなぁと、しみじみ。時代の転換期、大きく世の中が変わってゆく中でも、人やこの世の本質的な部分は、案外変わらなかったりします。結構スルドイところを突いてくるのです。

本日のことわざ
「引かれ者の小唄

 

タカコ

以前さあ、とんでもないクレームを出した人がいて。まあ、仕事していたらミスやクレームはつきものなのだけどさ、ミスを隠しちゃっていたから大事になっちゃった。

ほひほひ

あらまあ。

タカコ

誤魔化し続けられるものではないのにね。若手の社員ならともかく、ある程度の管理権限のある立場の人だったから、余計にびっくり。

ほひほひ

新卒や若手社員の手前、余計に言い出せなかったんじゃないか?

タカコ

あ~、それはあるかも知れない。

ほひほひ

まあでも、ホントはすぐ謝罪して向き合った方が、カッコイイんだけどね。

タカコ

それでね、やっぱりクレームって早く対応すればするほど、ダメージは少なくて済むものだから、、、隠蔽して寝かせちゃっていた分、もう大変!ホント、会社の信用に関わてくるからさ。さすがにこの取引先の仕事、飛ぶかもしれないって。

ほひほひ

あら~。

タカコ

ミスは仕方ないじゃない?でもさ、どうしてそれを報告しなかったのか、それでどれだけ大変な事になっているのか、、って。そりゃ上長は強く指導するよね。

ほひほひ

そうね。

タカコ

別室で指導していた部長さん、戻ってきたらさ、さっきより怒ってるの!

ほひほひ

ほほう。

タカコ

まあ、怒りを通り越して、呆れてたという感じかな。

ほひほひ

へ~。

タカコ

部長さんいはく、こちらは本気で怒って真剣に向き合っているというに、当の本人ときたら、、、

ほひほひ

ほう?

タカコ

ヘラヘラ薄ら笑いをしていただけでなく、鼻歌をうたったと。「彼はもう無理だ」と判断して、その場を離れたそうで。私もそれを聞いて、本当にびっくりした!
お客様にとんでもない迷惑をかけて、会社のみんながそのために大変な思いをしてフォローや対応に追われているというのに、、、当の本人のその態度、アタマおかしいんじゃないか?って、思っちゃった。

ほひほひ

それで、今日はこのことわざを??

タカコ

そうなの!このことわざを聞いた時、いま話したことを思い出したの!!

ほひほひ

【引かれ者の小唄】これ以上、逃げることもできず、どうする事もできず、窮地に立った人が、鼻歌をうたって平気を装ったり、強がったりすることの意味。
昔、罪人が処刑場に連行されるときなどに、強がって小唄をくちずさんだりしていた事に由来する「ことわざ」だね。

タカコ

ほんとにさ、まさにこのことわざと一緒だなと!

ほひほひ

そうだね~。

タカコ

バカにして、鼻歌をうたったのではなくて、もうどうしたらよいか分からなくて、ああいう態度になったのかあって。自分の中では相当窮地に追い込まれていたんだね。
まあその後、彼は退職したから、重く受け止めていたんだなというのはわかったけどね。

ほひほひ

「ひと」って深いねえ。知れば知る程、面白い☆

タカコ

表面的なことだけでは、判断できないことの方が多いかもしれないね。

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著者について

 

黒須 貴子(くろす たかこ)
https://tempurayama.com/

数々のアルバイトや専業主婦などを経て、消防設備の会社を設立。下請けからの脱却、女性消防設備士の登用など、難題に直面してきた経験をシェアして生かせる〈社長峠の茶屋〉を始める。学生時代はパンクロッカー、現在はヴィジュアル系のキャンサーサバイバー。

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