ネットの履歴書
第78回『たらればホリエモン物語』

  • ソルナ株式会社が開発した究極の履歴書。それがネットの履歴書』これまでの履歴書や職務経歴書とは何が違うのか。なぜ究極と言えるのか。その秘密に迫ります。

小さなブルーオーシャンを追え
〜ネットの履歴書〜

第78回『たらればホリエモン物語』

 

安田

前回、すごく気になったんですけど。

三澤

なんでしたっけ?

安田

ホリエモンの話。彼がやろうとした「テレビ局の買収」は、今から考えたら絶対正しいっていう。

三澤

そう思いますよ。

安田

確かフジテレビの株をニッポン放送が持ってたんですよね。

三澤

そうです。持ち株比率が逆転してて、いわば裏ワザでフジテレビを買収しようとした。

安田

ニッポン放送の株を買えばフジテレビも傘下に収められるっていう。

三澤

そうなんですよ。

安田

脱税で捕まりましたけど、一説には「マスメディアに手を出したから」って言われてました。

三澤

あのときは「時間外取引」みたいな裏ワザを使って手に入れたんですけど。それ自体はまあ、法的には問題ないんですよ。

安田

株を買ったことは合法だと。

三澤

はい。

安田

そこでは逮捕できないから脱税に持っていったんでしょうか?

三澤

どうなんでしょう。

安田

だって金額的には、もっとすごい脱税してる人もいっぱいいるじゃないですか。あの金額で実刑までいくっていうのは、絶対何かあると疑いたくなりますよ

三澤

そうですね。

安田

政治家でもあるじゃないですか。アメリカの国債を売ったら大変な目に合わされるとか。田中角栄さんも中国に近づきすぎて引き摺り下ろされた感じですし。

三澤

そういうのってドラマや小説の話だと思われてますけど。ホリエモンの時はちょっと違和感ありましたよね。

安田

ありました。

三澤

露骨にそういうのが見えた一幕って感じもします。

安田

何が問題になって、あそこまでされたんでしょうか?

三澤

たどっていくと球団買収とか。「あいつ生意気だ」「スーツ着てあいさつに来ない」みたいな感じで、長老や実力者を怒らせたこと。

安田

かなり怒ってましたよね。

三澤

評判は悪かったですね。塵も積もっていって「どっかでこいつ、ガツンとやっとかないと」っていう鉄槌が。

安田

世間的にも、あの頃のホリエモンは評判が悪かったです。だから逮捕されても、そんなに世論の反感は買いませんでした。

三澤

そういう雰囲気でした。

安田

いまだったらどうなんですかね。あのときよりSNSが発達してるじゃないですか。疑問を持ってる人がいろんな書き込みをすると思うんですけど。結果は一緒ですかね。

三澤

いやぁ、いまだったらパワーバランスだいぶ違いますからね。テレビとネットでは。

安田

あの頃は、まだ圧倒的にテレビでしたよね。

三澤

ネットビジネスなんてまだ得体の知れない存在で「なんだおまえたちは??」「テレビに勝てるわけないだろ」みたいな状況でした。

安田

あのときホリエモンがテレビ業界に入り込んでたら「ネットとの融合がもっと進んでた」ってご意見ですよね。

三澤

そう思います。

安田

ぜんぜん違う会社になってましたか。

三澤

なってたと思います。当時の彼は3〜5年先が見えてるようなコメントを出してました。でもたぶん周りがそこについていけてなかった。

安田

テレビが?

三澤

テレビも、われわれもそうだと思います。いま、ここまできて、ようやくみんな答えが見えかけてる。

安田

テレビタレントやお笑い芸人も、テレビに見切りつけてネットに進出する人が出てきましたから。

三澤

10年後なんて、もっとはっきりネットの優位が見えてるわけじゃないですか。

安田

でしょうね。

三澤

あのタイミングでホリエモンがネットとテレビの融合とか、いろんな仕掛けをしてれば、相当おもしろいメディアができてたかなと思います。

安田

サイバーエージェントの藤田さんも、ネットテレビをつくってるじゃないですか。AbemaTVでしたっけ。ああいうのとはまた違うんですか?

三澤

あれはあまり進まないだろうと思います。

安田

へえ。見たことありますか?

三澤

あります。藤田さんとホリエモンだと完全にモノが違う。頭のできから発想力から。

安田

タイプが違いますよね。

三澤

はい。どちらかっていうと、藤田さんは王道というかノーマルなタイプ。優秀な経営者だけども、よく安田さんも言われる「ゲリラ」じゃない。

安田

確かにゲリラっぽくはないです。

三澤

あのやり方ってすごく時間もかかるし、成果も読めない。ホリエモンみたいなゲリラ的な行動で「人に嫌われても」「世間を敵に回しても」という要素がない。だから進まない。アベマはいつまでたっても赤字事業ですから。

安田

「そこまで赤字を出すということが重要なんだ」って、本人はおっしゃってますけど。

三澤

そこはすごいけど。ただあの人がやるべき第一歩ではないと思う。

安田

それはどういう理由で?

三澤

もっと嫌われようが何されようが、自分の信念を貫いていく人じゃないと。ある意味まわりから好かれるノーマル経営者ですから。優秀だけども、そっちじゃないんですよ。大きなうねりを起こして変えていくタイプではない。

安田

たとえばテレビでも「つづきはWebで」みたいなのがあるじゃないですか。あんなのじゃぜんぜんだめだってことですか?

三澤

まったくだめですね。誰でも思いつくじゃないんですか、そんなの。誰もが思いつかないようなことをやっていかなきゃいけない。5個も10個も20個も。

安田

あの時点のホリエモンには、すでにそんなアイデアがあったってことですか?

三澤

あったと思いますね。最終形態までなんとなくイメージができてたと思います。

安田

へえ。

三澤

たぶんテレビ業界は恐怖でしかなかったと思いますよ。その話を聞いたとき。あの時点で「5年10年後には逆転するよ」ってことを言ってたので。

安田

だけど信じなかったと。

三澤

はい。「そんなことはない。なんの根拠をもって言ってるんだ?」って感じだったんでしょうね。

安田

ネットメインでテレビをサブにしてしまうぐらいの、アイデアだったかもしれないですね。

三澤

そう思います。うまくいくどうこう以前に、自分自身が楽しむところがあるので。

安田

趣味でロケット飛ばしたりしてますから。

三澤

発想がちょっと違いますよね。藤田さんにロケットを飛ばす発想はない。行動力というか。まさに、それの大きい版がテスラのイーロン・マスク。ああいう人がどんどん業界を変えていく。

安田

時価総額でトヨタを抜きましたもんね。

三澤

彼も「なにを言ってるんだ」とかずっと言われてましたけど。ロケットのアイデアもすごいじゃないですか。飛んだものが元にまた戻ってきますからね。

安田

あれはコスト削減が目的なんですか?

三澤

10分の1ぐらいに下がったんじゃないですか。ああいう発想って普通の人からは出ないですよ。

安田

ホリエモンがあの時テレビ業界に入ってたら、GAFAを抜いてるぐらいの可能性はあったんですか?

三澤

抜いてた可能性はありますね。

安田

なんと!そんなに。またメディア業界に戻ってこないですかね?

三澤

ないでしょうね。もう興味がないと思う。

・・・次回へ続く・・・

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