ネットの履歴書
第93回『千人計画は成功するのか』

  • ソルナ株式会社が開発した究極の履歴書。それがネットの履歴書』これまでの履歴書や職務経歴書とは何が違うのか。なぜ究極と言えるのか。その秘密に迫ります。

小さなブルーオーシャンを追え
〜ネットの履歴書〜

第93回『千人計画は成功するのか』

 

安田

中国の千人計画ってご存知ですか?

三澤

そんなに詳しくはないですけど。

安田

中国が本気でノーベル賞を本気で取りに行く計画。そのために世界中からずば抜けた人間を集めるそうです。

三澤

日本のIT技術者もどんどん流れてますね。報酬が桁違いなので。

安田

年間予算22兆円だそうです。

三澤

途方もないですよね。

安田

基礎科学の専門家を中国に集めたいみたいです。

三澤

中国が本気を出したら出来ちゃうでしょう。IT技術者はすでにそうなってますから。

安田

報酬はどれぐらい違うんですか?

三澤

IT分野だと億単位とかもぜんぜん普通ですね。

安田

えっ!億単位?

三澤

日本だとソニーや東芝でも、せいぜい1,500万〜2,000万ぐらい。中国だと最初から1億5,000〜2億。しかも研究開発費をふんだんに出してくれる。

安田

日本の大学なんてどんどん研究予算を削られてますよ。とくに基礎科学の分野は。

三澤

そうですね。

安田

「すぐにお金になるものを研究しろ」って。日本の基礎科学力はどんどん落ちていくでしょうね。

三澤

ぜんぶ中国に流れちゃいそうです。

安田

中国は基礎科学の重要さが分かってる?

三澤

そうでしょうね。でもズルいと思います。よその国がこれまでやってきた研究をピュッっと取っていくんだから。

安田

取られたくなければ、それなりの報酬を出すしかないですよ。

三澤

難しいでしょうね。日本では。

安田

給料も研究開発費も少ないけど「愛国心で頑張ってくれ」っていうのが日本ですよね。中国企業に移ったら「非国民」とか言われそう。

三澤

日本人のよくない部分です。

安田

ちょっと甘え過ぎですよね。

三澤

報酬もそうですけど「やりたいことを思いっきりやりたい」というのが研究者なので。

安田

ですよね。

三澤

「お金がないからできない」「環境がないからできない」というのは、研究者にはちょっとつらい。

安田

生きがいみたいなもんですから。

三澤

お金に対する貪欲さはビジネスマンに比べて少ないと思うんですよ。だけど研究に関しては飽くなき探究心がある。

安田

それが研究者の正しい姿です。

三澤

「あの設備があって、こういった環境だったら、思いっきり自分の証明ができるのにな」って。

安田

わかります。

三澤

そういうモヤモヤ感があるところに「思いっきりやってください」って言われると。

安田

しかも報酬も高いし。

三澤

日本の研究者は“スポンサー探し”からが仕事だそうですから。

安田

え!そうなんですか。

三澤

はい。自分で資金調達してこなくちゃいけない。

安田

そりゃあ国を見捨てるわけですね。

三澤

やりたい研究を続けるためには仕方ないんでしょう。

安田

企業も儲からない研究にはお金を出さないし。

三澤

日本の研究室ではボロボロの機械を「修理しながら使う」って。ネットにも出てます。

安田

それでノーベル賞を取るって、ある意味凄いですよね。

三澤

それに比べて中国はふんだんにお金を使って。1台1億みたいな設備投資をガンガンやって「さあどうぞ」ってやられると、もう、えらい差ですよ。

安田

やっぱり社会システムの違いですね。日本だと国民がすぐ文句言うから。

三澤

トップダウンで自由に予算を使えるのは大きいです。

安田

民主主義は構造的にもう勝てなくなっていきますね。

三澤

このままだとそうなります。

安田

大学にも「すぐ使えるスキルを教えろ」「商売感覚を身につけさせろ」って。

三澤

国が上場企業と同じ感覚になってます。

安田

この国のトップは基礎科学の重要性が分かってないんでしょうか。

三澤

分かってないでしょうね。分かっていてもやれないでしょうけど。

安田

票につながらないから?

三澤

はい。日本の政治家はそこしか見てないです。

安田

社会主義は「誰も働かなくなる」って言われてましたけど。結果的には豊かになってますね。

三澤

中国みたいに市場だけ自由にして、制度はトップダウンで決めるのがいいんでしょう。あれは最強かもしれません。

安田

千人計画は成功すると思いますか?

三澤

思います。

安田

中国からノーベル賞受賞者もどんどん出てくる?

三澤

出てきてもおかしくないです。

安田

世界でいちばんの科学大国になりますか。

三澤

なっていくでしょうね。間違いなく。

安田

あの人口で、基礎技術も押さえて、なおかつ国家予算も使えて。しかも商売上手ですからね。中国の人って。

三澤

そうですね。世界中に華僑がいますから。

安田

中国がアメリカを凌駕するときは近いですか。

三澤

トランプさんはそこを怖がってるんでしょう。だからああいう対応になる。

安田

アメリカ国民はバイデンさんを選んじゃいましたけど。

三澤

そうですね。

安田

トランプさんみたいに極端な政策はもうできないですね。

三澤

でもアメリカの強いところって、イーロン・マスクみたいな、世界を動かす人が定期的に出てくるところ。

安田

GAFAもぜんぶアメリカ企業ですから。

三澤

ずっとつくられてきた文化というか。

安田

イノベーションのDNAみたいなのがあるんでしょうか。

三澤

自由な、失敗を怖がらないカルチャーですね。そこはまったく中国とは違うので。

安田

中国もそこは研究してるんじゃないですか。シリコンバレーを超えるために。

三澤

もちろん研究してるでしょうけど。

安田

イーロン・マスクみたいな起業家も、いずれは中国に流れていくんでしょうか?

三澤

企業家はアメリカを選ぶと思います。彼らは自由が好きですから。

安田

そこには手を打たないんですかね。中国は。

三澤

自由だけは真似できないでしょう。イデオロギーの根幹が崩れますから。

・・・次回へ続く・・・

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