第10回 女性が活躍できる会社とは

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第10回 女性が活躍できる会社とは

安田

今日は、自立してバリバリ働きたいという女性をうまく活用するためにはどうすればいいかお聞きしていこうかなと思います。


中辻

やる気も能力もあるのに、いろいろな制約のせいで活躍の場が狭められている方たちのことですか?

安田

そうそう。言わば「埋もれた人材」。そういう女性って時間の融通を利かせれば、会社のために120%の力でやってくれると思います?


中辻

それは人によるのかなあとは思います。独身時代はバリバリ仕事していたけれど、出産・育児のために一度辞めて、でもまた復職したい。そんな方はよく頑張ってくれますよね。

安田

つまり、そもそも以前からしっかり働いていたという素養がある人じゃないと、いくら環境を用意したところで頑張ってくれるわけではない、と?


中辻

うーん…どうなんだろうなあ。

安田

たとえば今まで社会に出て働いた経験はないけど、シングルマザーになってしまったから自分が頑張るしかない、という人はどうなんでしょうね?


中辻

支離滅裂かもしれませんが、子どもがいたら変わるとは思います。実際、私もそうだったので。

安田

中辻さんの場合、もともとそういう素養があったんだと思うんですよね、私は。


中辻

そうですかねえ(笑)。

安田

若くして出産したりシングルマザーになったりしていなくても、結構、キャリア志向でバリバリ働いていたんじゃないかなって気がするんですよ。


中辻

どうなんでしょうか?(笑)。でもまあ、しっかり働いてくれるかどうかって、やっぱり会社の雰囲気や環境に大きく左右されると思いますね。

安田

雰囲気や環境によっては、たとえシングルマザーさんでもすぐに辞めちゃうこともある?


中辻

そうだと思います。たとえばウチの会社は、設立当初からメンバーが一切変わってないんですよね。

安田

途中で辞めちゃった人はいないんですか?


中辻

はい。たとえばウチに、仮にサボり癖のある人が入ってきたとしても、他の社員を見ていたら絶対にサボれないと思うんです。

安田

ああ、なるほど。中辻さんの会社自体が、そういう雰囲気ではないんですね。


中辻

ええ。周りが自発的に動く社員ばかりだから、その中に入れば自然としっかり働かざるを得なくなるのかもしれないです(笑)。

安田

じゃあせっかく採用してもすぐに辞められてしまう場合って、どういう理由が考えられると思いますか?


中辻

従業員さんが会社に対して興味がない場合、ですかね。

安田

へえ、そうなんですか。


中辻

もちろんお金のことには興味があると思いますよ。契約とったらいくらインセンティブがもらえる、とか。

安田

ということは、お金以外、つまり仕事の内容に興味がない?


中辻

そうなります。上から言われたことに疑問も持たず…むしろ若干の不満を感じながら、ただやるだけ。それって、社長と従業員が同じ方向を向いていないわけですよ。

安田

そうか。埋もれている優秀な人材に対して、時間の都合さえつけてあげたら会社のために活躍してくれる、なんて単純なものではないということですね。


中辻

そうですね。昔、安田さんに「経営者は経営者目線、雇われている人は所詮、雇われている目線なんだよ」って言われたじゃないですか。

安田

そうでしたね。


中辻

本当にその通りだと思って。よく会社のために奉仕しろっていいますけど、それははっきり言って雇っている側からの「お願い」じゃないですか。

安田

たしかに。従業員さんに向けたお願いですね。


中辻

じゃあそのお願いを気持ちよく聞いてもらうためには、まず社員さんに気持ちよく働いてもらう、というところが私の中の結論なんです。

安田

もう少し詳しく教えていただいてもいいですか?


中辻

成果に対して現金で還元してあげること。プライベートを大事にしながら働いてもらえる環境づくり。この2つさえ満足できれば、会社のことを一緒になって考えてくれると思っています。

安田

逆にそこを満足させられてないのに、会社のことを考えろ!というのは無理がありそうですね。


中辻

はい。経営者と雇われる側は対等であり、お互い持ちつ持たれつであるべきと思ってるので、そういうのは雇う側の横暴だなって思います。

安田

ちなみにプライベートと仕事のバランスって、わりと人によって違うかなと思いますが、その辺りはどう考えていますか?


中辻

ウチがやっているのは、基本的に、私以外の社員はほぼ残業していないです。

安田

それはどうしてですか?


中辻

残業って、文字通り「残り仕事」ですよね。でも1日の労働時間が長くなると、パフォーマンスは落ちていきますよね。

安田

間違いないですね。


中辻

それなのに残業代は通常の賃金の1.25倍とかになる。それってすごく費用対効果が悪いですよね。だから残業しなくてもいいように、仕事の量を調節したり納期管理する。そういうマネジメントが私の仕事なんです。

安田

残業させず、いかにキレイに終わらせてあげるかが大切だ、と。


中辻

ええ。でもこういう話をすると、残業もしないような会社なんて、必死に頑張っている会社には一生勝てないよ、って言う経営者の方もいるんですよね。

安田

そんなこと言われるんですか。


中辻

そういう思考を持った経営者の方、圧倒的に多いと思います。私は家族との時間を大切にしたいのでプライベートも大事にしていますけど。

安田
家族の時間も大切にする。中辻さんのそういう姿を見ているから、社員の方も残業なしで高いパフォーマンスを発揮されているんでしょうね。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

Twitter

1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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