第51回 自分で決断することが、ポジティブ思考の源

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第51回 自分で決断することが、ポジティブ思考の源

安田

ここ数回にわたり「安田から見た中辻麗」というテーマで対談をしてきましたが、いろいろとお話を聞いていく中で、中辻さんは業績アップのための「センターピン」を見つけるのがお上手だなと感じていて。


中辻

そうですか? そう思っていただけるのは嬉しいですね。

安田

例えばヤクルト時代は、新規訪問の時にオリジナルのセット商品を渡すことで2回目の訪問につなげ、売上をアップさせていた。で、印刷会社の時には営業にサンプル品を持たせ、顧客に新しい提案をさせることで売上アップを実現していたわけですよね。


中辻

そうですね。こうやって振り返ってみると、いろいろと試行錯誤したことが実を結んでいたんだなぁと実感します。

安田

たぶん中辻さんって「商売のコツ」を見つけるのがすごくうまいんだと思うんですけど、その能力ってどうやって鍛えたんですか?


中辻

そんな「商売のコツ」みたいなカッコイイものなんて何もないですよ(笑)。自分が思い描いている未来に進むためには、どうしたら一番速く・スムーズにコトが進むかなというのを考えているだけというか。

安田

要するに「自分の部署の売上をアップさせるための最短ルートはなんだ?」というようなことを考えるわけですか。


中辻

そうですね。例えば印刷会社の場合、私の仕事は「インクジェットでいろんなアイテムを商品加工し、世に送り出す」ことでした。でも売上を作ってくれるのは営業さんなので、じゃあ営業さんたちはどうすれば売りやすいかな、というのをただただ考えただけですよ。

安田

その「ただただ」っていうのが、すごいんですよ(笑)。普通だったら「営業がちゃんと頑張ってくれないから、私たちの商品が売れないんだ!」ってブーブー文句いうだけで終わりですって(笑)。


中辻

え〜そうなんですか? だって自分は営業しないのに「営業さん、もっと頑張って仕事取ってきて」と言うだけなんて、すごく無責任だと思うんですけど…。

安田

たぶんそういう思考がある時点で、やっぱり中辻さんは「経営者的発想」をしっかりお持ちなんだと思いますね。


中辻

そうなんでしょうか。自分ではなかなかわかりませんけど(笑)。

安田

笑。というかビジネスを紐解いていくと、やるべきことって意外とシンプルだと思いませんか?


中辻

それはすごく思いますね。みんな複雑に考えすぎ(笑)。「お客様を大事にする」とか「社員を大事にする」とか、そこを起点にすれば、自分はどう動けばいいのかもっとクリアになると思いますよ。

安田

仰る通りです。ただそういう「本質的なこと」って、当たり前すぎて「本当にこんなことをするだけで成果がでるの?」と不安になりがちなんですよ。


中辻

あぁ、なるほど。「もっとすごいアイディアや答えがあるはず」って思ってしまうんでしょうね。

安田

そうそう。でも実際はすごくシンプルで「当たり前」のことをしっかりやるかどうかで、結果に大きな差が出るんですよ。


中辻

確かにそうですね。

安田

先ほどの印刷会社の話で言うと、ほとんどの人が「営業が売ってくれたらいいな」とは思うはずなんです。でもそこで実際に「じゃあ売ってもらうためにはどうすればいい?」「売れなかったらどこを改善する?」と突き詰めていったからこそ成果につながった。そういうことを中辻さんはどうして自然にできるようになったんでしょうか?


中辻

どうしてなんでしょうね(笑)。もしかすると以前安田さんが、私のことを「自己肯定感が高い人間」だと言ってくださったことに結びつくのかもしれないですね。

安田

ほぉ、なんでそう思われるんですか?


中辻

私はわりと自分が下した決断は信頼しているんです。だから1度「これでいこう」と決めたら、そこからフラフラと迷うことはほとんどなく、自分で決めたとおりに進めていくので。

安田

自分自身で「部署の売上をアップさせる」と決めて、絶対にそれができると信じているからこそ、達成に向けてひたすら努力をする。そういうことですか?


中辻

そうですそうです。自分が決めたことだからこそ、責任をもって取り組まなきゃと思えるのかなと。

安田

なるほど。それはやっぱり15歳で出産を決断されたことともつながりますか?


中辻

そうですね。出産を後悔したことは全く無いですからね。それは別に「今となって振り返ってみれば…」というような後付の決断ではなく、妊娠してすぐ「よし、産もう」と決めていたので。

安田

中辻さんってあまりネガティブに考えないタイプなんですか? だって15歳で出産、しかも旦那は借金抱えているのに働きもしない。で、自分はアフィリエイトで月何十万も必死で稼いでも、すべて借金の返済に回される…。これだけのことが起きていても悲観的にならないのって、本当にすごいと思うんですけど(笑)。


中辻

あはは(笑)。まあ、もともとそういう性格なんだとは思います。でも私はこれまで人生で起きたことに対しては、すべて自分自身で決めているので。だからこそ良いことも悪いこともすんなり受け入れて、楽しく生きてこられたんだろうなと(笑)。

安田

いやあ、すごいですね(笑)。たしか中辻さんって「人生終わった」って思ったことないって仰ってましたよね。でもたぶん中辻さんと同じ経験をした100人のうち99人くらいは、きっと20歳くらいの時点で「人生終わった」と感じるんじゃないですかね(笑)。


中辻

え〜そうですか?(笑)

安田

15歳で出産するだけでも大変なのに、そこに働かない旦那のお世話と、その旦那の借金まで乗っかってくるわけですから(笑)。いくら「自分が決断したことだから」とはいえ、それを悲観的にならずに乗り切れるのって、やっぱり中辻さんは相当強いんだと思います。


中辻

笑。でも私の周囲には母を始めとするたくさんの「良い人たち」がいるので、いろんな場面でたくさん助けてくれたんですよ。離婚しようか迷っている時に相談をした市役所の方もすごく丁寧に対応してくださって。おかげで娘を1人で育てていく自信が持てましたからね。

安田

いやいや、そもそもそれが市役所の人の仕事なわけで。「国からこういうサポートがあるから、人生に悲観しなくても大丈夫ですよ」って、相談に来た人みんなに言ってますから(笑)。


中辻

確かにそうですね(笑)。でもその方、福祉課の課長さんだったんですけど、支援制度とか保育園の利用料のこととかすごく詳しく教えてくださって。そのおかげで全く不安なく離婚できたので、大感謝ですよ(笑)。

安田

笑。そうやって全てのことをポジティブに捉えることができるのも、中辻さんが多くの人を惹きつける理由の1つなのかもしれませんね!

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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