第227回 芋洗いからの脱出

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第227回「芋洗いからの脱出」


安田

家族旅行で星野リゾートに行って来ました。ニュースどおり誰もマスクをしていませんでした。

久野

そこまで徹底するところがすごいですよ。

安田

「大型連休を分ける」という試みもいいですよね。

久野

星野さんは昔から言ってますね。大型連休は分けた方がいいって。

安田

私もそう思います。みんなで一斉に休むって効率が悪すぎますよ。

久野

そもそも効率よくするために揃えてるはずなんですけどね。

安田

本末転倒も甚だしいです。連休って道も電車も混んでるし、料金は高いし、いいことは何もない。

久野

連休を外した方が安いし、快適だし、ってなりますよね。

安田

私はいつもそうしてます。旅行は祝日ではなく平日に行きます。

久野

安田さん進んでますよ(笑)

安田

子供が大きくなると難しいでしょうけどね。 全国の子供を同じ日に休ませるって意味ないですよ。もうちょっと考えて欲しい。

久野

愛知県が今そういう取り組みをしています。平日に休みの日を作っていて。

安田

おお!素晴らしい。

久野

行政も少しずつ変わってきてます。

安田

愛知県は出生率もちょっと高いですよね。いろいろ先進的な取り組みをしてるんでしょうね。

久野

ラーケーションの日とか。

安田

ラーケーションって何ですか?

久野

休み方改革のプロジェクトです。「校外学習」「活動の日」という意味で、年間3日まで取得が可能。

安田

今現場で人が採れなくて困ってるじゃないですか。

久野

はい。大変ですよ。

安田

連休をズラすだけでも効果あると思うんですけど。なぜその程度のことをみんなやらないんですかね。

久野

取引先との関係もあるので。難しいんじゃないですか。そもそも日本人は日曜日に休みたがる人が多いし。

安田

なぜ日曜日に休みたがるんでしょうね。平日の方がいいと思うんですけど。友達と会えないからでしょうか。

久野

私は百貨店にいた時は平日休みでしたけど、友達いなかったので何の苦もなかったです。

安田

ですよね(笑)

久野

経済合理性もあります。消費者は安く済むし。観光業も100日黒字で265日赤字という状況らしいですから。

安田

でも星野さん曰く、じつは観光業や宿泊業の人が反対しているそうです。

久野

そうなんですか。

安田

はい。休みが集中すると人気のホテルや旅館が埋まるじゃないですか。

久野

はい。

安田

そうすると人気がないホテルにまでお客さんが流れてくるそうです。おこぼれが回ってくるわけですよ。

久野

そこですか!

安田

連休を分けちゃうと人気ホテルに年間を通して人が来るので。不人気のところは「つぶれるじゃないか」って反論が出てるらしくて。

久野

経済としてはそれが正しい方向ですよ。

安田

そこは自分で努力しろよって思うんですけど。でも日本の行政って、弱者が反対すると腰が引けるじゃないですか。

久野

そうですね。でもそんな戦略思いつかなかったです(笑)活路として。

安田

後ろ向きすぎる戦略ですよ。建物が老朽化して、食事もサービスも中途半端で、新幹線乗車率が200%を超えるような日じゃないとお客さんが来ない。

久野

でもそういう宿泊施設って、ゴールデンウイークとかに結構高くなるんですよ。

安田

そうなんですよ。「え!こんなボロい旅館がこんなにするの?」って。消費者からすると、休みを分けてくれた方が絶対いいと思うんですけど。

久野

健全な競争が起こってより良くなるんじゃないですか。

安田

切羽詰まらないと泊まってもらえない宿泊施設って、もう他の仕事をすりゃいいのに。商売として成り立ってないですよ。

久野

成り立ってないですね。

安田

今後どうなると思いますか。連休を日本全国で分けて取れるようになりますか。

久野

弱い会社がつぶれる話には、やっぱり行政はめちゃくちゃ耳を傾けるので。なかなか実現しないでしょうね。

安田

弱い会社がつぶれないから「みんな給料が安いんだ」って、デービッド・アトキンソンさんも言ってるわけですけど。

久野

私もそう思います。

安田

一方では給料上げろとか、一人当たりの生産性上げろって言ってるわけで。やってることが矛盾してます。

久野

結局は折衷案になると思いますよ。中途半端にやるんじゃないですか。3日間ぐらいとか、ちょっとずつ。

安田

そもそも有休があるんだから好きなときに休めばいいのに。やっぱり休みにくいんですかね。

久野

有休の強制取得とかも法律にあるぐらいですから。

安田

そうですよね。となるとやっぱり国が決めるしかない。大型連休を5回ぐらいに分けちゃうのがベストな気がしますけど。

久野

それが一番いいですよね。マイナンバーで振り分けて「この世帯はここがお盆です」みたいな。

安田

地域別でもいいですよね。真冬に北海道に行く人は少ないでしょうし。冬場は北海道の人が休んで暖かいところへ遊びに行くとか。

久野

逆に沖縄は観光業が暇なときに休みにするとか。

安田

それが理にかなってますよ。観光業の人が反対してるってのが凄い。

久野

家族の反対もあるって聞きますよね。祝日に休めないと。

安田

家族が反対するんですか?平日に休むことに。

久野

祝日に休めないことにですね。隣の誰々さんとこは祝日や土日が休みで、子どもと一緒にいられるのに。なぜあなたの会社は違うんだって。

安田

平日の休みに一緒に遊べばいいいじゃないですか。

久野

平日は学校があるじゃないですか。

安田

確かに。学校も有休的な休みを作ればいいのに。みんなで休んでみんなで芋洗いリゾートに行ってもしょうがない。

久野

芋洗いリゾートって(笑)

安田

だって、ぎゅうぎゅうの電車に乗って、何時間も渋滞に閉じ込められて、やっと着いたと思ったら海もプールもホテルもレストランも人だらけで。

久野

超不健全ですね(笑)

安田

まさに芋洗いですよ。芋洗いリゾート。

久野

ネーミングをつけるのはやめてください。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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