第167回「男性顧客に特化した斬新なアプローチ:株式会社PERCUTが手掛ける小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「男性顧客に特化した斬新なアプローチ:株式会社PERCUTが手掛ける小さなブルーオーシャン」


「髪を切るだけなのに、何時間もかかるのはちょっと…」
「いろいろと話しかけられるのは、面倒くさいなぁ…」
「男が美容院なんて恥ずかしいよ…」

私が子どもの頃は、
男性は床屋、つまりは理容室。
女性は美容室。
というイメージがありました。

ところが最近では、
理容室特有の、赤・青・白の
サインポールが徐々に姿を消し、
おしゃれな美容室があちらこちらに。
いつしか、男性も美容室に通うように
なっていったと思われます。

現に理・美容サロン業界の市場は
2兆470億円(2021年度)。
そのうち、理容サロン業界は6,078億円に対し、
美容サロン業界は、1兆4,392億円。
美容サロン業界は理容サロン業界の
約2倍以上の市場になっています。

とはいえ、直近6年ではコロナ禍による
外出控えの影響などもあり、
同業界の市場規模は横ばいがら微減という状況。

そんな中、売上2桁の成長を続けており、
直近では売上5億円に達した企業があります。

都内中心に展開している「PERCUT」です。

「PERCUTが業績を伸ばしている3つの成功要因」

1 男性にフォーカスしたサービスを提供
2 高い水準を誇る人件費比率
3 施術を断る可能性もある徹底した時間管理

UnsplashのGreg Trowmanが撮影した写真

業績を伸ばしている裏には
必ず「理由」が存在するはずです。

調べて見ると、前述した3つが、
主な理由なのではないかと思います。

1 男性にフォーカスしたサービスを提供

PERCUTは徹底的に
男性客にフォーカスした
サービスを提供しています。

実は、男性と女性は
美容室に求めるものが異なるそうです。

女性は美容室に行くのを
楽しみにする傾向にあります。
僕の私見ですが、
「きれいになれる」
「変わることができる」
「気分を変えることができる」
など、女性は美容室に
「being」を求めているのではないでしょうか?

逆に男性は美容室に
渋々通う傾向があります。
髪を切る、パーマをかけるなど、
男性は、「doing」を求めています。

現に、
●店内販売としてワックスなどを勧められるのも疎ましく感じる
●メニューも多様なものよりシンプルな方が好まれる
●会話は不要
と思っている世の男性は多いのでは?

一般的な美容室は
『とにかく接客しよう、お客さまと話そう』
が基本ですからね。
これ、男性にとっては全部、
嫌なことなのかもしれません。

こうした男性の不満(?)を逆手に取って、

●メニューは「カット」「カラー」「パーマ」「縮毛矯正」の4種類。
●一般的な美容室では複数回行うことも多いシャンプーも1回だけ。
●専用のアプリで「接客不要」のオプションを用意。

PERCUTでは、徹底的に男性に特化しているのです。

2 高い水準を誇る人件費比率

美容室は一般的に「ホットペッパービューティー」などの
集客サイトを積極的に活用する傾向があります。
ところが、PERCUTはSEO対策やSNSに力を入れています。
現に各店舗が毎月100人以上の新規顧客を獲得しているそうです。
また、賃料が抑えられる地下や2階以上のテナントに
多く出店することで、コスト削減を図っています。

こうした取り組みは
人手不足な傾向が特に強い美容室業界において、
給料を増やすことが魅力に直結します。
PERCUTは同規模の他社と比較して
人件費比率は1.2~1.5倍と高い水準を誇るといいます。

3 施術を断る可能性もある徹底した時間管理

もう一つの特徴は「時間厳守」です。
カット施術は基本的に30分という
スピーディーなサービスを提供していますが、
予約時間に10分以上遅刻したお客さまには
施術を断るそうです。
男性のお客さまは『早く帰りたい』傾向が強い。
そのため30分をしっかり守ることを徹底しているそうです。

いかがでしたでしょうか?
しっかりとターゲットを決め、
分析し、それに合わせてサービスをする。
業界には慣習やしきたりみたいなものも
あるとは思いますが、
その慣習やしきたりはお客さまにとって、
関係ないことも多々あります。

「誰に対して仕事をしているのか?」

と、昔、上司に言われたことがありますが、
PERCUTは、美容サロン業界の常識ではなく、
お客さま、特に男性客に対して
仕事をしているからこそ、
業績を伸ばされているのだと思います。

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株式会社PERCUT
〒155-0031 東京都世田谷区北沢
https://percut-hair.com/
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佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

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