その67 ヘルメッター

交通系のマイナーな話題なのでご存じない方もいらっしゃるかと思いますが、
しばらく前に自転車に乗る際のヘルメット着用が義務になりました。
たとえば今、チャリで町を巡回している警察官は全員かぶっています。

ただ、義務といっても「努力義務」なので、
かぶっていないからペナルティを受けるということはありません。

わたくしはほぼ毎日自転車に乗っているので
自分と同じような通勤通学の人をたくさん見ています。
法律が施行されてちょっと経った現在、世間でどうなってるかというと、
「意外とかぶってる人多いな」
というところです。

なにせ、ヘルメットというやつは
転倒して頭を打つその瞬間まで、正直言って
百害あって一利なしです。
害なんておおげさな、と思われるかもしれませんが、
自転車ってそもそも暑いんです。

バイクと形は似ていますが、
バイクが「冬くそ寒く、夏くそ暑い」のに対して
自転車は「冬寒くなく、夏地獄」です。
エンジンで動くのと自分で動かさなければいけないというのは
かなり違うものなのです。

にもかかわらず、何の役にも立たないモノを
頭に載せていなくてはいけないというのは
特に夏場は苦痛ですし、
自転車を降りたら途端にかさばる荷物に変身します。
なにより、
可能な限り通気性を確保するために
自転車のヘルメットはボコボコに穴が空いているものが多いのですが、
それをかぶっている姿は
知り合いに見られるのはできるだけ避けたい、という見た目になります。

ヘルメットがダサい、というのは世界共通の価値観で、
たとえばプロのサイクルスポーツ、ロードレースにおいても
かなり近年までレーサーたちは基本ノーヘルでした。
(そして死亡事故が起きたりしている……)

それでも今回かぶるようになった人というのは
社会のルールだから粛々と従うのやで、という
比較的年齢層の高いマダムが多数派のように見受けられます。

個人的には、ヘルメットの着用については、
わざわざ罰則など持ちこまずとも
キャンペーンを打てばまだまだ伸ばす余地があるように思います。

ヨーロッパ、特に北欧などでは
道路事情が日本とは違い、自転車にもある程度路面をシェアする思想になっています。
そして、スポーツサイクルではない生活自転車に乗る人たちの多くが
ワンピースを着ててもスーツを着てても、頭にボコボコヘルメットをかぶっています。

その姿は自転車を降りても決してカッコ悪くありません。
必要に応じて必要な装備をしている、といった感じです。

この習慣をイケてる文化としてPRしない手はないとわたくしは思うのです。

21世紀になっても令和になっても
「フランス人は服を何枚しか持ってないけどオシャレだから
マネしたい美意識です」のような企画で永遠にビジネスが成立する、
日本人ならではの西欧ワナビー心をくすぐってみてはいかがでしょう。

ノーヘル危険ですよこけて打ちどころ悪いとまじで死にますよ、
などと落ち込むことをいわれるよりも
ぜんぜん楽しくヘルメットを検討できるのではないでしょうか。

なお、ヘルメットをかぶった北欧人がサマになるのは
本当は頭が小さくて脚が長いからです。

 

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著者自己紹介

「ぐぐっても名前が出てこない人」、略してGGです。フツーのサラリーマン。キャリアもフツー。

リーマン20年のキャリアを3ヶ月分に集約し、フツーだけど濃度はまあまあすごいエッセンスをご提供するカリキュラム、「グッドゴーイング」を制作中です。

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