その72 職場のマーケット

好きなことをして生きたい。

世の中がどんなに変わっても、
これは人間の普遍的な理想のひとつではないでしょうか。

これそのままのコピーで「好きなことで生きていく」といったのはYOUTUBEですが、
これをお仕事目線でいえば
プロダクトアウト的価値観ということもできるでしょう。

プロダクトアウトかマーケットインかというと
古典的なハナシみたいですが、
単に「作りたいものを売るのか、売れそうなものを売るのか」でなく
考え方として使ってみると、
「入りたい大学を受けるか、受かりそうな大学を受けるか」とか
「好きな人に接近するか、付き合えそうな人に接近するか」とか、
この分け方は自分とそれが属する社会があるところ、
いろんなアレコレに応用できるのではないかと思います。

多くの人に身近なところでは
会社員と職場というのもそのひとつです。

あまり、職場のことをマーケットとはみなさないかもしれません。
しかし複数の人が集まる場であり、
交流がありインプット・アウトプットがあり
なにより利害が発生するところであり、
規模は違いますがマーケットと共通する要素を備えています。

そしてそこに所属する誰もが体験するであろうことのひとつに、
周囲と自己認識とのギャップがあります。

自分で思っているほどの評価が受けられないとか、
命じられた仕事の内容が興味がわかないとか、
単純に給料が低いと感じるとか、
そんなようなことです。

これらはつまり
自分が思っている自分という商品の価値が
職場というマーケットの相場と合っていないということであり、
「会社員としての自分が正当な価格で買ってもらえていない」
という結果を指しています。

はっきりいって若いひとが辞めるときの動機とイコールなわけですが、
状況はどうあれ、根底にあるのが
「好きなことで生きていきたい」プロダクトアウト的な価値観であるかぎり、
多種多様な集団の中ではなんらかの齟齬ができてしまうのです。

それ以外でも若いひとが辞めたくなる理由はこの世にごまんと存在していますが、
少なくとも原理主義的な「好きなことで生きていく」価値観から
マーケットに「売れる」存在へと自己変質した人の方が、
より満足なキャリアを得られる可能性は高まるといえるでしょう。

……まあ、職場にマーケットインしまくった結果
会社で幅をきかせる以外の価値がない存在になってしまったとして、
それでいいのかどうかはわかりませんけど。

 

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著者自己紹介

「ぐぐっても名前が出てこない人」、略してGGです。フツーのサラリーマン。キャリアもフツー。

リーマン20年のキャリアを3ヶ月分に集約し、フツーだけど濃度はまあまあすごいエッセンスをご提供するカリキュラム、「グッドゴーイング」を制作中です。

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