「自由診療=高いは間違い?」〜お医者さんは、なやんでる。 第89回〜

第89回 「自由診療=高いは間違い?」

お医者さん
お医者さん
まったく、診療報酬の改正のたびにシステムの修正でバタバタするな。それで報酬が上がるならまだしも、下がるんだからかなわない。これじゃ頑張って自分の首を絞めているようなものだ。
お医者さん
お医者さん
国の医療費削減の動きは既定路線としても、いいかげん嫌になってくるな。なんとかならないものか。
保険診療そのものが「ジリ貧」と言われて久しいですからねえ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
まあね。かといって私達は他にやり方を知らないからなあ。……って、あなたは一体?
はじめまして、ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ、聞いたことがあるぞ。普通の医者じゃ思いつかない“ユニーク”な提案をしてくる人がいるって。
ありがとうございます(笑)。専門は電カルなんですが、もともと「おもしろいビジネス」が大好きで。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふうん。してそのドクターアバターなら、この状況をどう乗り越える?
そうですね。まあ、一言で言うなら保険診療をやめちゃえばいいんだと思います。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
おいおい、保険診療をやめるって、それは自由診療のことを言っているのかい?
仰るとおりです。このジリ貧から抜け出すには自由診療を始めるしかありません。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
君ね……“ユニーク”な提案が聞いて呆れる。自由診療を始めればいいなんて簡単に言うけどね、明日から保険は効きません、高額な自費で行ってもらいますなんて言ったら、患者さんなんて誰も来てくれなくなるよ。
でも先生、自由診療なんですから価格は自分で決めていいんですよ? 自由診療というとバカ高いイメージがありますが、お手頃な値段設定にしちゃいけないなんてルールはない。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
む……そうは言うがね、保険制度が使えないんだから、安くした分の負担は自分の懐から出ていくんだ。経営が立ち行かなくなったら、患者が来てくれても意味ないだろう。
そのあたりは少し複合的に考える必要がありますね。時に先生、先ほどシステム修正の手間のことを嘆いてましたよね。報酬の改正のたびにバタバタするって。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ん? ああ、確かに言ったが。
自由診療を選択すれば制度に合わせる必要はなくなりますから、まずこのバタバタはなくなりますね。それだけじゃない、保険証の確認もいらなくなるし、毎月のレセプトの作業からもオサラバです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
……確かにそうなるか。
そう考えると、保険診療で必要だった作業がなくなった分、人件費は削減できそうですよね。今までと同額にはできないとしても、今の2倍程度の金額で同等の利益を得ることは十分可能だと思います。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
2倍、か。うーん、まあ、従来の自由診療より確かにお手頃感はあるな。
そうなんです。何より重要なのは、保険診療は今後どんどん厳しくなっていくのがほぼ確定しているのに対し、自由診療は工夫次第でスケールアップが見込めるということです。どの病院も、遅かれ早かれ自由診療に移行するしかない。だったら早めにチャレンジしたほうがいいじゃないか、というのが私の考えなんですよ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
……まあ、一理ある、な。なんとなく悔しいが、少し自由診療に現実味が出てきたよ。
実際にやるかどうかは別として、シミュレーションくらいはしても損はありません。よかったら食事でもしながら打ち合わせしませんか?
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なになに……ドクターアバター”お食事相談ツアー”? いや、まったく“ユニーク”だな君は笑。よし、これも縁だ、お気に入りの店に一緒に行こうじゃないか。
ありがとうございます!
絹川
絹川

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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