第13回 わび和さび -社長峠のことわざ

この記事について
半世紀も生きてきますと、【ことわざ】の持つ意味が、より深く染みるようになりました。昔の人はうまいこと言ったもんだなぁと、しみじみ。時代の転換期、大きく世の中が変わってゆく中でも、人やこの世の本質的な部分は、案外変わらなかったりします。結構スルドイところを突いてくるのです。

本日のことわざ
「神は正直の頭に宿る」

タカコ

本日のことわざ!

ほひほひ

「かみはしょうじきのこうべにやどる」

タカコ

今回はわかりやすい。そのまんまの意味だね。

ほひほひ

そう、正直者には神様のご加護があるってこと。

タカコ

「まんが日本昔ばなし」で育った私世代は、もうこのことわざの意味、まんま刷り込まれてるよ。いじわるじいさんは最後ひどい目にあって、正直じいさんは幸せになるという結末!なんだけどさ・・・

ほひほひ

なんだけど、何だ?

タカコ

大人になって社会にでてみると、ほんとかいな?って思う事も結構あって。

ほひほひ

【正直者はバカをみる】ってやつか?

タカコ

そう!ほんと、どっちが正しいんだか・・・

ほひほひ

まあ、そういう側面も確かにある。正直者は損な役回りをする羽目になったりね。でも、もっと長い目で俯瞰してもう一度よく見てごらんよ。

タカコ

・・・・

ほひほひ

いったんは正直者がバカをみるという結果になっても、そのあと最終的にはどうなっていった?

タカコ

ちょっとまって!色々思い出した!!

ほひほひ

何を?

タカコ

あのさ、会社で色々あったこと思い出してみたのだけど!

ほひほひ

じゃ、思い出したこと話してみてよ。

タカコ

スキルの高い人材が入社しました。本来であれば、それは会社にとってもその部署にとっても喜ばしい事!だよね。でもさ、その部署の上長が全力で追い出しにかかって。まあ、女性のみの部署だったからさ、女子にとっていちばんキツイ意地悪をしていたようで。もう他部署の人たちからもその新人さんかわいそうとの声があがったので、それぞれと話をしたよ。

ほひほひ

ほほう

タカコ

新人さんには、「部屋と部署を分けるよ」と伝えただけでさ、もう理解してくれて「辞めようかと思っていましたが、ありがとうございます。」と。

ほひほひ

その上長さんには?

タカコ

「信頼しているのだから、そんなことしなくて大丈夫だよ」と伝えた。この上長の方もそれだけ伝えただけで、もう理解して涙を流していたんだよ。

ほひほひ

よっぽど脅威だったんだね、その新人さんが。

タカコ

ほんとにね、その上長さんは仕事ができて私も信頼していた分、今回の様な行動に出てしまって、がっかりだなって思ってしまったけど。まあ、人間だから自分に脅威となる存在は疎ましく思ってしまうのもわからなくもないけど。

ほひほひ

ほう

タカコ

スキルが高い人が自分の部署に入ったら、本来喜ぶべきなのだけど・・・部署や会社へのメリットより、自分の立ち位置が気になってしまった。そうなると、これ以上の昇進は難しいなって。あと何より、人としての思いやりを持っている人に、人を任せたいってやっぱり思う。人の上に立つには必要な事だよ。

ほひほひ

で、今回のことわざとの関係は?

タカコ

あ、そうそう!それでね、やっぱりその上長さん、どうしてもその新人さんを辞めさせないと気が済まなかったみたいで、そのあと暴走した。

ほひほひ

え~涙ながして、わかってくれたのでは??

タカコ

そうなのよ!わかってくれたかと思っていたのに、やっぱりどうしても会社が彼女を辞めさせないのが納得いかなかった様で・・結局彼女は労基に行って大騒ぎし、わたしは呼び出されました。

ほひほひ

ほう

タカコ

こちらは「悪しき経営者」とう事になっていたので、最初みんなおっかない顔でさ、ヒアリングをしてくるわけ。質問には正直に全部答えたよ。

ほひほひ

それで?

タカコ

途中から労基の方々の態度が180度変わった。なんかさ、みなさんとっても親切にしてくださって、「お気の毒に」とエレベーターまでお見送り・・みたいな。

ほひほひ

なぜに?

タカコ

なんかさ・・事実をデフォルメしたり、捏造したりして訴えていたのよ、その上長さん。
その時、労基側3人からヒアリングされていたのだけど、途中で気づいたみたい。どっちが嘘ついているのか。嘘ついていると必ずどこかでつじつまが合わなくなるんだよ。
で、こういう方は他にもいるそうで、さすが労基の方々どちらの主張が真実なのかちゃんと見破る。

ほひほひ

当の本人はそのあとどした?

タカコ

そのあともあちこちで騒いだのだけど、結局自分でついた嘘で自分を追い詰めてしまう結果になった。結果、新人さんではなくて、その上長さんが会社を辞めることになった。

ほひほひ

そうか

タカコ

その新人さん、いじわるされていたにも関わらず、その上長さんのことは何一つ言わないでいた。それが他の社員からも好印象になったみたい。そのあと結局退職した彼女の仕事を引き継いだ。

ほひほひ

そこで、今回のことわざか

タカコ

そう!正直に生きていれば、最後は報われるってことだね。道中大変でもさ。

ほひほひ

そだね☆

 

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著者について

 

黒須 貴子(くろす たかこ)
https://tempurayama.com/

数々のアルバイトや専業主婦などを経て、消防設備の会社を設立。下請けからの脱却、女性消防設備士の登用など、難題に直面してきた経験をシェアして生かせる〈社長峠の茶屋〉を始める。学生時代はパンクロッカー、現在はヴィジュアル系のキャンサーサバイバー。

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