第181回 働く人が集まらないお店

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

このコラムが掲載されるのは4月2日。
予定通りに掲載されていれば、私は前日の4月1日に新入社員の入社式へ参加している事になります。

そんなタイミングという事もあり、ふと初めてのアルバイトスタッフや新入社員を雇用した頃を思い出していた訳ですが、そこで改めて思ったのです。

「昔のモデルのまま商売を続けていたら、今日まで商売を続けることは難しかっただろうな」と。


開業してからかなりの期間、私のお店は早朝まで営業していました。
その一番の理由は「競合のお店が営業していない時間も営業すれば売りやすい」と考えていたからです。

実際、当時は朝までお店を開けておくことで売上も立っていましたし、お店のシフトも大きな問題なく回っていました。

でも、そんな売上の立て方を続けている中で、ある予想もできていたのです。
それが「このままだと、いずれ営業できなくなる日が来るだろう」ということ。

競合が営業していない時間に営業すれば売りやすい。

この事実に気づくのは私だけではないでしょうし、実際に他のお店よりも営業時間を伸ばせば売れると考えて行き着いた先の商売こそが24時間営業という商売なのでしょう。

じゃあ何故、私が当時のモデルでは営業できなくなる日が来ると感じたのか?

その答えこそが、新入社員の入社というタイミングに改めて思い出した「働く側の視点」であり、競合が営業していない時間に営業するという選択は、お店で働く人にとっても仕事がしんどいということ。そして、しんどい仕事はいずれ人が採れなくなり、結果的に営業自体もできなくなってしまう可能性が高いということ。

つまり「仕事はあるけれど、やる人がいないお店」になるリスクです。

もちろん、今もコンビニエンスストアは24時間営業をしていますし、深夜だけ仕事をしたいという働く側のニーズもあるとは思います。ただ、小規模で商売をするならば、私たちがやるべきなのは、少ない労働ニーズを大手と取り合おうとするよりも、働きたい人が集まる条件をまずは考え、その条件の中で売れるモデルを作り出すことではないでしょうか。

口で言うほど実行するのは簡単ではありませんが、簡単ではないからこそ経営者自身が取り組むべき課題であり、もし私がこの課題を先送りしていたら今ごろは働く人が集まらないお店になっていただろうと考えれば、決して避けてはいけない課題だったと、今は思えるのです。

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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